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無塩食講座第27講 


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無塩食講座 第27講 201288日アップ

 
1.今までのレポートの中から「無塩食とは何か」について、再度整理していきたいと思います。

  今回は、第1講から第4講までのレポートから、抜粋したもので、新たに書いたものではありません。

 

2.第1講から

  三島で「無塩食排毒セミナー」を開始したのは、2008年8月ですから、まだ3年半しか経っていません。

正直なところ、3年前には無塩食とは何かについて、正しくはわかっていなかったのです。それなら、今は全部わかったのか?というと、それは疑問です。まだまだ試行錯誤の段階なのかもしれません。

  「無塩食は大変に効果がある。効果があるということは、間違ったやり方をすると、逆効果になる。分からないまま、中途半端な本を書いたりするのは止めよう」と考えていたのです。

  しかし、今わかっていること、体験したことを、そのままできるだけ正確に伝え、参考にしてもらった方がいいのではないか」と思っているのです。

 

私が提言している無塩食の理論と実際を、より一般的に通用するシステムとしてまとめていくためには、多くの人達の体験と協力が必要です。無塩食について、少しでも興味を持ち、ささやかでも体験し、お互い学び合い、情報交換の場として、「無塩食友の会」を発足させていただきました。

 

無塩食に限らず、あらゆる健康法について言えることですが、

 ①他人の体験は参考にはなっても、そのまま全て自分にあてはまるわけではない(自分の体験を人に押しつけてはいけない)。

 ②自分の過去の体験は貴重であるが、今も同様になるかわからない(過去の成功体験が豊富な人は、自信過剰の恐れがあるから、注意すべし)。

 

今後のレポート内容の予定(掲載の順番通りではありません)

 

1.「無塩食セミナーを始める前の話」

①國清れい子の高血圧に対する疑問→30年間穀菜食を実行していた彼女がなぜ高血圧になったのか?

②大森先生ご夫妻の怪我に対する疑問→50年間、徹底した穀菜食の両先生がなぜ怪我をされたのか?

③塩とは何か→人間にとって空気、水に次いで不可欠なものが塩であろう?

④塩は体に備蓄しているのではないか。それは毒ではないか。毒は必要があって、蓄積したのであって、処理しきれなくてたまったのではない?

⑤人間の歴史の99%は飢餓の歴史だ。いつ襲ってくるかわからない飢餓に備えて、不可欠な塩を備蓄するのは当然だ。毒は毒ではなかった(40年間、錯覚していた)。

⑥子どもや若い人が将来の飢餓に備えて、栄養物(塩分)を備蓄するのは当然としても、その動きが死ぬまで続くのか。死期が近づいた老人も同じとは考えにくい。もしかしたら、老人になったら、備蓄するよりも、溜まりすぎた毒を逆流させてくるのではないか。若い頃に蓄積していた毒が加齢と共に溶けだしてくるならば、今までの疑問が解ける?

⑦食生活を転換して、10年もすれば、体は根本的に創りかえられると思っていたが、これは間違いだった。子どもの頃に蓄積した毒は、死ぬまで抜けきらないと考えた方が正しい?

⑧子どもの頃に備蓄した塩分を含んだ動物性の毒を代謝するにはどうしたらよいか。無塩食にする以外にない(十分に塩分を入れた陽性食では、奥の方の毒は代謝しない)。

 

3.無塩食セミナーを開始して以後の話

①梅干しの種を用意→無塩にしたら陰性な反応が出ると思っていた。しかし、その後、この予想は間違っていたことが判明した。

②最初のセミナーに参加した青年の話(3日で6キロ減量→リンゴジュースが飲めない→炭酸が入る。なぜ炭酸なのか?)

③無塩食の反応に対しての疑問(梅生番茶も効くが、温かいリンゴジュースも効くのはなぜか?)

④ゲルソン療法との出会い。ゲルソン療法とは何か?

⑤脊柱管狭窄症の腰痛が一時的でも解消

⑥花粉症が改善

⑦國清れい子の血圧が下がった。

⑧ある婦人科ガン(卵巣癌)の話

⑨胃ガンの男性の話

 

4.無塩食とは何か(現在の見解を再び整理)

①無塩食は水断食と同じようなものではないか?

②完全な無塩食はどのくらいの期間、可能なのか?

③無塩食による反応と熱中症。なぜ水分不足に陥るのか。5年間の疑問が解けた?

④あるお坊さんの長期断食

⑤千日回峰行から100日の塩断ち行

⑥男性の無塩食、女性の無塩食

⑦女性の閉経と排毒

⑧女性の生理中の場合

⑨ゲルソン療法と國清の無塩食の違い。星野式ゲルソン療法に対する疑問

 

5.無塩食の実際

①三島のセミナー内容の紹介

②家庭で仕事をしながら実践できる無塩食の実際

③事前の準備

 無塩食実行中の注意

 普通食に戻す時の注意

④その他の注意事項は

 

6.特別レポート 田村式の紹介

 

 

3.第2講から

私が玄米食の勉強を始めたのは19歳の時ですから、もう45年になりました。

  1980年ごろに昔からの水断食では危険だと感じて、大森先生に学んだ半断食セミナーを始めました。私が勧めてきた半断食とは、少食少飲の完全穀菜食で、塩分は欲求するだけ十分にとってよいという内容でした。

  それに対して、3年半前から開始した現在の無塩食セミナーでは、塩分は一切とらない。野菜、果物、飲み物は食べたいだけ食べる、という内容ですから、以前の半断食とは一見して逆になっているようです。

そのような塩分をきかせた陽性食で、少食を心掛けるという玄米食の常識に疑問を持ち、無塩食を始めたいきさつは何なのか、私が無塩食という発想に到るまでの経過を以下、お話いたします。

 

最初の疑問は私の家内(國清れい子)のことです。現在、65歳で40年以上、穀菜食を実践しています(最初は小魚など使っていましたが、大森先生の勉強をしてから、この30年以上は純正菜食を心がけてきました)。

  彼女が50歳前後の時です。背中や腰が以前より硬化していたのです。

背中や腰が硬化するのは肉、魚、卵など動物性食品からくることがわかっていました。一般的に、腰が硬い人は、魚、貝類の食べ過ぎで、背中の真ん中位が硬いのは、肉、卵を過食した人です(陽性毒は背中にくる)。

若い頃は柔らかかった家内の背中が、動物性をほとんど食べていないのに、なぜ硬くなってきたのか?

  それから数年後のことだと思います。職場の検査で「高血圧」の診断を受けてきたのです。

  上の血圧が160位、時には200位になるのです。

 

半断食セミナーに高血圧で10年間も降圧剤を服用しているという人が、少なからず来ていました。そのような人達に、「穀菜食で少食にすれば、血圧は簡単に下がりますよ。薬はすぐに止めても大丈夫です」と指導していたのです。

  そして、実際に血圧は下がり、薬も飲まなくなっている人がほとんどでした。ところが、家内の高血圧に対して、どうしてよいかわからないのです。30年間も穀菜食で少食なのです。なぜ血圧が高くなるのか、何が悪いのか、わからなかったのです。なにしろ、玄米菜食で少食なのですから、改善すべきことが見つからないのです。

 

6年前(2005年)の夏に、大森英桜先生が亡くなりました。亡くなる数ヵ月前に、駅の階段で転んで脚を骨折されたのですが、その時に「なぜ大森先生が怪我をするのか?」と疑問に思ったのです。

  「怪我も病気も同じだ。本当に健康だったら、怪我も事故もない」と理解していたからです。50年間、徹底した純正穀菜食を実行してきた大森先生が脚を骨折するということは、どういうことなのか?という疑問です。

  そういえば大森一慧先生も怪我をされたことを思い出しました。一慧先生も50年間、徹底した穀菜食を実行してきたのです。

  

 疑問を感じながらも、わからないまま時間がすぎていきました。「50年間、穀菜食をしても、全身の体細胞がすっかり入れ替わっているわけではないようだ。奥深い所の毒は残っているようだ。」というイメージを持っていただけでした。

ところが今から約4年前に、家内と大森先生ご夫妻に関する上記の疑問が突然のように氷解したのです。以下の文書は、拙著「ウイルスは恐くない」からの抜粋です。

  

 食べものは、その時、その人の体質、症状、反応等に丁度適した物が美味しく感じるので、個人差が大きいのです。しかし、誰が食べても比較的美味しい料理と、誰が食べても比較的まずい料理があるのも事実なのです。この違いは何なのか、実はつい最近、私はこの違いが何であるかを発見(?)したのです。まだ仮説であり、私の独断的、こじつけかもしれませんが、多分正しいだろうと思っています。

この発見が、その後、私が30年間指導してきた半断食のシステムを再検討するキッカケとなりました。大森先生の勉強をしてから、一環してやってきたシステムを根本的に見直すなど、思ってもいませんでした。

 

要点は以下の通りです。

人間が生きていくために外から取り入れなくてはならないもので、もっとも大切なものは、順番に考えてみると、第一は空気、酸素です。呼吸が止まったら、3分で死んでしまいます。第二は水です。一滴も水分を摂らなかったら、2、3日で死んでしまいます。第三は何か、それは塩だろうと私は考えました。塩分が不足したら、生理機能は正常に動かないのです。

生命維持に不可欠な塩分を、体(生命)はどうするのだろうか。酸素や水は体内に蓄積できないが、塩分は蓄積しているではないか。

 人間の長い歴史から見ると、ほとんどが飢餓の歴史であり、食べものがあり余って無駄に捨てているなどは、近年になって、それもごく一部の先進国だけである。農耕民族でも、狩猟民族でも、食べものがいつ確保できるかわからない。何日も食べものがないというのが普通だったのだから、まず水が近くにあって、次に大切な塩分を、体は可能な限り備蓄するのは当然だ。塩分のみを備蓄しておく臓器も袋もない。ならば、いざという飢餓に備えて、体は塩分をどのように蓄積しているのか。塩分単独ではだめだから、蛋白質や脂肪と一緒に塩分を蓄積する以外にない。

 肉、魚、卵など、塩分が含まれている食物を、胃や腸で完全に分解してしまったら、塩分も代謝して尿で出てしまう。塩分を備蓄しておくためには、塩分が含まれている食べものを、未分解のままで吸収して体内にためておく以外にない。それは、すなわち毒ではないか。そうすると、毒はたまたま蓄積したのではない。体は必要があって、毒をためていたということになる。

飢餓になって、塩分が外から補給されない事態となったら、その毒素を分解処理して、塩分を補うことになる。しかし、飢餓状態がいつまでも来なかったら、備蓄していた塩分を含んだ毒素は代謝されないことになる。

 少なくとも、年に1度か2度襲ってくるであろう飢餓に備えて、体は塩分を備蓄しているのに、5年も10年も飢餓にならなかったら、古い塩分はもう役に立たない。簡単には代謝しなくなってしまう。玄米菜食をまじめに実行しても、塩分が十分に補給されていたら、古い塩分を含んだ毒素は代謝しないことになる。体内の毒素は、新しいものから代謝していくのだから、古い物ほど代謝が難しいのではないか。

 

上記の文書の要点を再度、整理してみます。

 

①人類の歴史は飢餓の歴史であり、狩猟採集民も、農耕民も、たびたび飢饉に襲われていた。

  ②食料欠乏の時に、生き伸びるためには、必要不可欠な栄養を体内に蓄積(備蓄)するのは当然である。

  ③塩分を蓄積するには、塩分を含んだ蛋白質や脂肪などを分解しないままで蓄積する以外にない。食料欠乏時にこれを分解し使うことになる。しかし、何年も飢餓的状況が起きなかったら、これは代謝されないこととなる。

 ④過去40年間、分解、処理できなかったために、だんだん毒がたまってきたと思っていたが、これは間違っていた。毒は必要があってためていたのだ。それは、いざという飢餓に備えた備蓄栄養物であり、毒ではなかった。

 

子どもや若い人が将来の飢餓に備えて塩分を含んだ動物性蛋白質などをドンドン備蓄するということは納得できる。しかし、70歳、80歳の老人が若い人と同様に将来の飢餓に備えて備蓄するわけがない。そんな必要はないはずである。

  いや待てよ。子どもや若い人は将来に備えてドンドン蓄積する。これは正しい。老人は逆になるのではないか。若い時にためて代謝していない毒が、むしろ逆流してくる。溶け出してくるのではないか?

そうか、わかったぞ。老人になったら蓄積するよりも逆に蓄積していた毒が溶け出してくるのだ。もしそうなら、家内や大森先生ご夫妻の疑問が解ける。納得できる。子どもの頃の毒は、体の奥深くに代謝しないまま、ズ~と存在していたんだ。それが加齢と共に、徐々に溶け出してきたんだ。

 

   家内の場合に、子どもの頃は肉は少なかったが、魚貝類は結構食べていた。20歳半ばから玄米食を始めて、大森先生の勉強をしてからは、ダシの煮干し、鰹節もやめていたけれど、子どもの頃の陽性毒は代謝していなかったのだ。それが、50歳前後から少しずつ溶け出してきたとしたら、だんだんと背中がはってきて、腰が硬くなってきて、さらに血圧が上がってきたとしても、不思議ではない。若い頃よりも、全体の症状は陽性になってきている。食べているものは、むしろ陰性なのに、陽性が強くなってきた原因は、体の奥深くに蓄積していた陽性毒が出てきたためだ(毒が溶け出してくるということは、血液の中にその毒が溶けて、循環するのだから、口から食べて出てくる症状と同じなのです)。

大森先生ご夫妻の場合も同様に考えてみると納得できる。50年間、食生活を変えても子どもの頃の毒は完全に代謝していなかったということだ。いかに穀菜食で少食でも、塩分を十分にとっていたら、子どもの頃の陽性毒は代謝しないと考えるしかない。

 

もし、この仮説が正しいとしたら、子どもの頃に蓄積している陽性毒を代謝するにはどうしたらよいのか。本来ならば、年に何回かの飢餓状況がきてドンドン代謝して入れ替わっていたはずなのだ。ところが、現代先進国の人々は飢餓どころか、何十年も食べ続けている。

体が飢餓に備えて備蓄する一番重要なものが塩分ならば、塩分をとらなければ蓄積している毒が溶け出してくることになる。そうか、無塩食にすればいいのではないか。

  50年間、徹底した純正穀菜食を実践された大森先生ご夫妻でも子どもの頃の陽性毒が残っているとしたら、塩分を十分にとっている今までのやり方では、奥深い陽性毒は代謝しないと考えるしかない。

 

一般的に老人になると、体が硬くなり、背丈も縮んできて陽性な症状が色々でてくるが、これは最近食べているものの影響だけではなく、若い頃の陽性毒がドンドン溶け出してくることが主因ではないか?

 そうか、女性の場合は、閉経によって生理で排出していた陽性毒が出せなくなり、その陽性毒と溶け出してくる陽性毒が重なって、50歳前後から一気に陽性症状が強くなる可能性が高い。

  更年期障害とか老化とかの本質は、若い頃のため込んでいた陽性毒が溶け出してくることではないか。

 

以上が、私が無塩食にたどりついた経過とその仮説です。大森先生が極陽性体質の人に、野菜の水炊きなどを無塩で食べなさいという処方箋を出していました。しかし、その頃は、単に陽性過多に対して陰性な無塩食というとらえ方でした。

  新しい発想のポイントは、

 ①毒は必要があって、ためたものであり、塩分を含んだ動物性食品だ。

 ②飢餓のない現代人においては、この毒を代謝する機会がない。

 ③この毒が50歳前後から溶け出してくる。この時に血液中に毒が溶けて循 環するという点においては、食べているのと同じ症状が出る。

 ④子どもの頃から蓄積している陽性毒を早く代謝させるには、無塩食にする以外にない。

                            

4.第4講から

 

20088月に、約30年間続けてきた半断食セミナーの内容を、穀菜食の少食で塩分は好きなだけとる、から無塩菜食に切りかえました。

 第一回目の無塩食セミナーから、アレ、アレと多少あわてる反応が発生したのです。

  夏休みの時期で、その中に、Aさん(20半ばの青年)がいました。彼は それまで一般的な食生活で、玄米食とかはしていませんでした。

Aさんは、やや太り気味の青年でしたが、特別に病気も、気になる症状も なく、健康体の人でした。1日目、2日目と無塩食を普通に食べていたと 思いますが、どの程度、何を食べたのかの詳しい記録はありません。とに かく、レモン汁を入れたリンゴジュースが美味しくて、よく飲んでいたの です。

セミナー中に、希望者を夜、近くの温泉に車で連れて行っています。3日目の夜、温泉の湯につかりながら、Aさんと話をしていました。その時に彼が「先生、体重が6kg減りました」と言うのです。水だけ飲む完全断食でも、3日弱で6kgも減ったということは、記憶になかったのです。ですから、彼の話に本当にそんなに減ったのかな~との思いでした。

 

4日目の昼食と夜食を、Aさんはあまり食べたくないと言って、食事(少 しずつ塩分が入ったものもでていました)を殆ど食べなかったのです。特 に、吐き気があるとか、胃腸が具合悪いとか、その他、気分の悪いとかは 何もないのです。レモン入りのリンゴジュースが美味しい、美味しいと言 って、ガブガブ飲んでいたのですが、料理は欲求がな

 かったのです。私も「食べたくなかったら、無理に食べなくてもいいよ」と 言いながらも、夕食時には、「明日の昼でセミナー終了だから、少し 食 べた方がいいけど」と勧めていましたが、彼は料理には手をつけず、リン ゴジュースを飲んでいたのです。

 

最終日の朝、散歩から帰ってきて、いつもと同様に、Aさんはリンゴジュ ースを飲みました。しかし、その後の昼食時には全く食欲がなく、美味し いはずのリンゴジュースも喉に入っていかないのです

  「先生、リンゴジュースが飲めません」。水で薄めてみましたが、やはり 飲めませんでした。吐き気があるとか、何かの症状とか何もないのです。 気分も特に悪いことはありません。しかし、昨日まで美味しかったレモン 入りリンゴジュースが入らないのです(この感覚は、体験がない人に説明 するのは難しいのですが、とにかく飲もうとしても飲めないのです)。私 は内心「アレ~」とは思いましたが、そのような事態は過去に何度も体験 してきていました。私はAさんに次のような決まり文句を言ったのです。 「何か他に飲みたいものはないですか?何でも良いから、飲めそうなもの、 思い浮かぶものはないですか?」。

  これに対して、Aさんが「炭酸みたいなもの・・・」とか言ったのです。

  私はすぐに近くのスーパーへ車をとばして、炭酸水(無糖)を2本買っ  てきました。そして、リンゴジュースに炭酸水を同量入れ、レモンを入れ てAさんに「味見してみて」と出しました。彼は1口飲んで「美味しい!」と 言って、ガブガブと飲んだのです。「飲みたいだけ、飲んでいいよ」と3杯 くらい飲んだかと思います。その直後に食欲が出てきて、最後の昼食をA さんは皆と同じように食べることができました。

 

今、思い返してみますと、第一回目の無塩食セミナーの時に、Aさんの事 態に出くわしたことは、天の助け、神の慈悲だったかと思います。これが 健康なAさんではなく、もっと深刻な病気の人だったとしたら、上記のよ うに簡単には行かなかったと思われ

 ます。

  実際にその後、Aさんのような症状とは違いますが、排毒によって「飲めない、食べられない」症状が、ゆっくりと進んでいき、最後に亡くなった人に出会うことになりました。

  私が「無塩食友の会」を立ち上げ、無塩食の理論と実際、特に無塩食実施上の注意事項を、広く知らせたいと考えたのは、そのような体験からなのです。

今後のレポートで、詳しく解説していきますが、とりあえず、Aさんのケ ースを頭に入れておいてください。無塩食は大変に効果があるが、やり方 が間違っていたら、危険性もあるということです。もっとも、このような ことは、あらゆる健康法についても、

  また現代医療においても、同じことが言えます。間違った玄米食で、か えって悪化する人は少なくないと思います。

 

さて、食事をしながら、私はAさんと参加者の皆さんに、Aさんの反応について、次のような話をしました。

  「Aさんの症状は、いわば、つわりのようなものかと思います。妊娠し た女性がつわりになるのは、血液中の毒素の処理が間に合わなくなって、 生命がチョッと食べるのを中断して下さい、という信号なのです。妊娠す ると、お母さんの肝臓、腎臓は、自分自身の老廃物の処理と共に、赤ちゃんが代謝して出してくる老廃物を同時に処理しなくてはならないのです。普通の時よりも、妊娠中は処理しなくてはならない毒素、老廃物が2倍くらいに増加するわけです。それだけ、肝臓、腎臓に負担がかかります。

 肝臓、腎臓が弱い人の場合は、その毒素の処理が間に合わなくなり、そんな時に食べられない、つまり、つわりという症状が出るのです。

 肉類とか脂っこいものは、食べられなくても、あっさりした果物や、酢の物など、血液の浄化にプラスになるものは、食べられるのが普通です。

 Aさんの場合も同じことで、無塩食によって体内に蓄積していた毒素がドンドン溶け出してきました。何といっても、6,7kg体重が減ったのですから、それだけの毒が血液の中に出てきたのです。勿論、散歩して汗をいっぱいかいていますから、汗と一緒に毒素も出ていますが、かなりの部分は肝臓、腎臓が処理して排泄されることになります。

  一気に毒が溶け出してくると、処理が間に合わなくなり、つわりと同様に食欲が亡くなり、動物性(肉、卵)の毒消しのリンゴジュースが美味しかったのです。しかし、血液の粘りが更に進んで、組織がグーと締まってきたため、今朝になってリンゴジュースも入りにくくなったわけです。それが炭酸で割ったリンゴジュースなら、美味しくドンドン飲めたのはなぜか。炭酸は泡を含んでいますから、萎縮した組織をポンと広げる作用があるのです。全身がゆるんで、胃も腸も動いて、食慾が出てきたのだと考えます。」

 

35年程前に、私は東京の府中で断食の指導をしていました。その頃の経験ですが、20歳過ぎの若い女性で、体重が100kg位の人が来たのです。入所して1日目に玄米食を1、2食食べただけで、ひどい吐き気が出てきて何も入らなくなりました。固形物はもちろんのこと、水分も何も入らないのです。

  少量の水を飲んでも吐いてしまいます。吐くものがなくても、吐き気が昼も夜も連続して続くのですから、1日で本人もまいってしまいました。全く吐き気がおさまりそうもなかたったので、私は彼女に「何でもいいから何か飲めそうなものはないか?」と聞きました。そうしたら「ポカリスエット」と言うのです。私はポカリスエットを飲んだことがないので、よくわかりませんでしたが、コンビニかどこかへ行って、ポカリスエットとサイダーにコーラなど、何種類かを買ってきて、彼女の前に並べました。水を飲んでも吐いた彼女が、それらは吐かないで飲めたのです。

  今思い返してみますと、彼女の場合もAさんと同じ症状だったと思います。排毒で一気に血液が粘ってしまったのです(この場合に、飲めるものが良いとか悪いとか、気にしていられないのです。何も水分が入らないままなら、脱水症状を起こして、生命にかかわる事態もあり得るからです)。

 

このレポートを書きながら、Aさんの当時の記録を確認してみました。合宿セミナー中に毎朝、体調報告書というものを皆さんに書いていただいています。午前中の講義の時に、この体調報告書を見て、色々と個人的なことを含めて説明しているのです。

  20088月のAさんの体調報告書を見ると、以下のようになっていたのです(一部のみ)。

 

 

2日目の朝

3日目の朝

4日目の朝

5日目

体重

2kg

4kg

7kg

-7kg

昨日の小便の回数

4

5

4

1

食べたいもの

飲みたいもの

麦茶

ざるそば

サイダー

ビール

ビール

昨日の水分量

10

12

12

15

 

3日目の朝の時点で、体重は-4kgです。その日の夜に温泉で6kg減ったと言っていたのです。翌朝は7kg減ったとの申告でした。次に小便の回数です。回数は上記の通りですが、濃い尿が出ていたのです。夏の時期ですから、水分はガブガブ飲んでいたのです。1日目~3日目までは4回、5回、4回と尿が出ています。しかし、5日目の体調報告書には、昨日の尿の回数が1回となっていたのです。そして、4日目~5日目の体重は変わっていないのです。

  これはどういうことかというと、7kgの水分と毒が一気に溶けてきて、血液が粘り、組織がグ~と締まり、尿が1回になってしまったのです。

  飲んでいる水分量が10号→12号→12号→15合と増加しているにもかかわらず、血液は粘っていったと考えられます。4日目から体重が減らなかったというよりも、軽いむくみが出始めていたと思います。

 

体調報告書には、食べたいな~、飲みたいな~と思うものがあったら、何でも記入して下さい、とあるのですが、3日目からサイダー、ビール、サイダーと記入されていたのです。その報告書に対して、私がどのようなコメントをしたのか覚えていませんが、なぜAさんがサイダー、ビールを要求していたのか、正しくはわからなかったのです。わかっていれば、砂糖の入っているサイダーはダメとしても、かわりの何かを検討したと思います。

  おそらく、「陰性な毒が出て来ると、同じものを体が要求してきます。サイダーが飲みたいと思うのは、砂糖の反応で中毒的要求かと思います」などと説明していたと思うのです。しかし、今、考えると、この解釈は全く間違っていたのです。正しくはAさんがサイダー、ビールを飲みたかったのは、排毒によって血液が粘り、その毒によって、全身がだんだん硬くなってきたのです。それをゆるめるために、サイダーやビールを求めていたのです。ですから、現在のように、炭酸水を最初から飲んでいれば、リンゴジュースが入らない、飲めないなどという事態にはならなかったと思うのです。

Aさんのケース(炭酸を要求した)は、特別なケースという認識がありました。しかし、その後、Aさんと同じようなケースが出てきたのです。色々な飲み物が入らなくて、炭酸なら飲めるケースです。そのうち、無塩食セミナーの最初から炭酸を用意しておくこととなり、炭酸が美味しい人はそのまま飲んでもよいし、リンゴジュースを割って飲んでもよいというようになりました。

  参加者の半分位の人は、炭酸が美味しく感じるのです。炭酸が美味しい人は、体質的には陽性な傾向があります。

 


 

                       以下、次号につづく




 
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