無塩食講座 第12講 2012年4月18日アップ
「硬水と軟水」
1.第10講で、ゲルソン療法について、概略紹介させていただきました。ゲルソン療法の食事内容については、私の無塩食と共通する部分が多いのですが、違っている部分もあります。
ゲルソン療法における食べもの以外のこと(医療的、補助的併用療法)については、無塩食とはかけ離れたことですから、論評を控えたいと思います。
2.さて、前回も硬水と軟水の問題についてふれていますが、このことは大変に重要なことですが、健康との関係について、正しく認識されていなったのではないかと思われます。
マクロの指導者の人達も、ゲルソン療法の指導者も、食事療法ですからその食べるものが何であれ、水の影響は少なくないはずです。しかし私が知る限り硬水の土地の野菜と、軟水の土地でとれた野菜の違いなどについて、注意されたものを聞いたことがないのです。
3.日本の水が軟水であり、海外では硬水が多いということは、知識としてはよく知られています。硬水の場合は、石鹸の泡が立ちにくいなどとよく聞くことですから、海外旅行に行ったことがなくても知っているわけですまた硬水ダイエットなどもあります。
知識はあっても、その水の違いが、体にどのように影響するかについては、正しく認識されていなかったのはどうしてなのか?これについては、よく分かりませんが、硬水の土地に移り住んでも、実感としては少ないからかも知れません。
4.まず、硬水と軟水の違いとは何かですが、一般的には、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量の違いです。硬水の方がより多くミネラルが含まれているわけです。この違いを陰陽で分けると、硬水は陽性で軟水は陰性となります。
拙著「ウイルスは恐くない」の水の問題では、タクアンの実験について書いていますが、もっと簡単なのは昆布です。ぜひ皆さんも試してみてください。出し昆布を同じ大きさに切って、軟水と硬水(コントレックスなど)に別々につけてみて下さい。硬水の方は大きさがほとんど変化しませんが、軟水につけた昆布はどんどん大きくなってくるのが一目でわかります。
5.タクアンや昆布と人間の体が同じではないとしても、与える影響としては同じなのです。
私がヨーロッパに着いて、1日目2日目の体の変化ですが、とにかくに尿の量が2日間ほど多くなるのです。水の問題に気がついたのが10年ほど前ですから、尿量が一時的に多くなることについても、昔は気がついていませんでした。最近は注意をしていますから、よくわかるわけです。
日本からヨーロッパに着いて、現地でお茶を飲んだり、食事をして、その後1日~2日間の尿がいつもより多いとしても、普通は気がつかないわけです。私の場合は、オランダに着くと、すぐにコーヒーを飲みます。そのコーヒーは硬水で作られていますから、その影響で組織がギューと締まってくるわけです。その結果として、飲んだ以上に尿がたくさん出るということを毎年実感していて、注意していると、今年もやっぱりそうなったということなのです。
個人差があるとは思いますが、最近4、5年の私の実感としては、オランダに着いて、最初の1日~2日間は、尿量が2倍位に増加します。当然ながら、体重がその分減少します。
6.さて、今回もオランダ滞在中に気がついたことがあります。以前からお土産で自然食ラーメンを持って行って、自分でも食べるのですが、このラーメンが日本で食べる時よりも美味しいのです。麺がシコシコしている感じです。これも水の違いからだと思います。
私は料理については全く素人ですが、日本の麺類(そば、うどん、そうめんなど)は、塩分が入っているが、パスタには塩分が入っていない、従ってパスタをゆでる時は塩を入れてゆでるそうです。どうしてこうなっているかについて、今回オランダで食事をしながら気がついたことです。日本の水は軟水ですから、麺類にあらかじめ塩を入れておかないと、ゆでた時にダラーと伸びやすいと思います。それに対して、ヨーロッパは硬水のため、パスタに塩をいれておかなくても、そんなに伸びないのです。しかし、このパスタを日本の軟水でゆでる時は、塩を入れてゆでないとすぐに伸びてしまうことになるわけです。イタリアでもパスタをゆでる時は塩を入れるそうですから、これが正解かどうかわかりません。知っている方は教えてください。
7.さて、話が変わりますが、先週の土曜日に帰国して、翌日近くの温泉に行きました。ジェットバスというお湯がすごい勢いで噴き出すのがあるのですが、そこに入って背中、腰を当てたのです。その時に気がついたのですが、腎臓が左右ともちょっと腫れた感じで、押すと痛いのです。
今までこのように腎臓部がはれた経験がないので、どうして、何時からこうなっているのか、あれこれ考えているのです。現在の推論としては、以下のとおりです。
①腎臓部を打撲したということはないから、徐々に腫れてきたことになる。
②さわってみるまで気がつかなかったのだから、いつから腫れてきたかはわからない。
③そうすると、今回のオランダ滞在中に、何らかの原因があるということになる。何時もと今回と何が違っていたかといえば、4日間、受講生と一緒に無塩食料理を食べて、それ以外の物は少ししか食べていないという点が違っている。
④4日間の無塩食(正確には減塩食)が原因で「腎臓が腫れる」ことはあり得るか?可能性としてはあるかもしれない。無塩によって、排毒が促進される。然し、その割には水分をあまり飲まなかった。硬水で腎臓が締まって来て、毒素の処理がスムーズにいかず、腎臓の負担が増加して腫れてきたというシナリオを考えてみたのです。
「ヤンノーが美味しいわけ」
8.過去20回以上のオランダでのセミナーの際に、参加者の大部分の人が共通して美味しがる飲み物の一つにヤンノー(小豆スープ)があります。ヤンノーは慢性の腎臓、泌尿器、生殖器などに異常がある時に使います。日本のセミナーでヤンノーが美味しい人は、参加者の50%程度ですが、オランダのセミナーでは99%の人がヤンノーを美味しがるのです。
ヤンノーは腰部の組織がギューと縮んでいるのを緩める作用がありますから、このヤンノーが美味しいということは、腰部(腎臓など)が硬化しているということなのです。今までその原因として、チーズ、ナッツ類と硬水によって、ヨーロッパの人達は腰が硬化していると考えていましたが果たしてこれだけなのかどうかを検討する必要があると思います。
9.ごく単純に考えてみると、無塩食を実行し、体内の奥の方に蓄積していた陽性な毒がドンドン溶け出してくるのですから、それが体内を循環して肝臓、腎臓で処理されることになります。つまりは、普通の時よりも、肝臓、腎臓に負担がかかることは当然なのです。一気に大量の毒が溶けてきて、肝臓で処理が間に合わない時には、肝性昏睡を起こすとして、ゲルソン博士は肝臓を助けるために色々な補助的療法を行なっています。
10.さて、問題は肝臓だけではなく、腎臓にも大きな負担がかかっているはずです。腎臓が行うべき毒素の処理が間に合わなくても大変です。もし腎臓の糸球体が委縮して、機能が低下したら、むくんだり、色々な症状が出てくることになります。
すなわち、無塩食によって、溶け出してくるのは塩分を含んだ陽性な毒ですから、その毒で腎臓が委縮しやすいと考えられます(塩の陽性で締まる)。この腎臓の萎縮に対して、ヤンノーが効くわけです。つまりは、無塩食の実行に際して、溶け出してくる陽性毒に対しての陰性な野菜、果物とは別に、腎臓を助けるためにヤンノーが美味しかったら、毎日飲む必要があるかもしれないと考えています。これについては、今後、少し時間をかけて検証していきたいと思います。
「粘った濃い血とは」
11.また、話が変わります。今までこの講座で血液が「濁る」とか、「粘る」とかの表現をよく使用していますが、これについて補足的な話です。20歳代の時に、私は森下先生の食事指導のクリニックに6年間在職していたのですが、その6年間、患者さんの血液を見ていたのです。森下先生の診療日は、1カ月のうち半分くらいで、予約制です。当日の朝、予約の患者さんが一斉に来て、血液検査その他準備をします。
私の隣で看護師さんが、血液検査のために10ccの血液を腕からドンドン採血して、試験管に移して並べていくのです。その試験管の血液を毎日のようにすぐ横で眺めていたのです。一見してどす黒いドローとした血もあれば、うすいピチャピチャした血もあります。そして、看護師さんが「うーん、出ないなー。出にくいなー」とつぶやきながら採血していることがよくありました。粘った濃い血は、簡単に抜けないのです。
12.昔、民間療法で、肩、背中、腰などから、そこにたまっている毒血を抜くという治療がありました(瀉血といいます)。明治の頃に医師法が制定され、血を抜くのは医師でなくてはできなくなって、このような治療はなくなっていますが、個人が家庭で自分や家族にやっても違反ではありません。私も何度も、実際を見た経験があります。
肩や腰の毒血の溜まっているところへ、太めの鍼を刺して、そこへガラス瓶状のものをあてて中の空気を抜く、つまり減圧するわけです。そうすると、ドロドロの流れそうもないプリンのように固まった、黒ずんだ血が出てきます。ところが、その毒血がさらに粘っていると、真空ポンプでいくら減圧してもその毒血が外に出てこないのです。逆に、ゆるい血液はどんどん出やすいのです。
13.大森先生から以下のようなお話を何度か聞いています。
大森先生が純正穀菜食の徹底した陽性食でゴマ塩をきかしていた初期の頃のことです。皆の前で「見てろ」と言って、カミソリで自分の腕を切ってみせたとのことです。ところが、血が出ないというのです。本当に血がきれいで、かつ塩気がきいていたら、切っても血が出ないということです。そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、事実と思います。大森先生の説明は、血が血管から流れ出るのは陰性な症状であり、甘いもの、果物、アルコールをとっていたら、出血しやすくなる。陽性で塩気が効いていたら、血管を切ってもすぐにギューとしまって、ほとんど出血しないとのことなのです。
私が大森先生に出会った頃は、大森先生が陽性過多になって、逆にミカンをドンドン食べていらした時ですから、この現場は残念ながら見ていないのです。
しかし、瀉血の時も、きれいな血は出てこないように感じていましたから大森先生の説明で納得していました。
14.大森英桜先生の著書に「人間 大森英桜」(宇宙法則研究会発行)があります。その中に、「肉の常食者は陽性毒をまず抜く」というタイトルの文章があります。その最後に、「陽性食の対応で失敗している。アメリカ人など肉食を常食にしてきた人の病気は、陽性の毒をまず抜かないと治らない」とあるのです。ここでは「アメリカ人など」と書かれていますが、大森先生がそのようなことを実感されたのが30年以上前のことですから今の日本人は30年前のアメリカ人と同じではないかと思われます。なんと言っても、動物性食品の摂取量は、この50年間で10倍位に増加しているのです。
また、大森先生は「肉食を常食してきた人」と書いていますが、「魚介類を常食してきた人」はどうなのでしょうか?この場合も「陽性な毒をまず抜かないと治らない」と言えるのではないかと思うのです。
15.上記のような大森先生の実感、体験は私自身がこの20年間で感じてきたことなのです。オランダへ半断食指導に最初に行ったのが20年前です。参加者の大部分はマクロの実践者の人達です。その人達の体質と最近の若い人達の体質が似てきたように感じています。日本人の食生活が欧米化してきているのですから、これは当然なことなのです。昔の玄米食の常識が、今は当てはまらなくなってきたとしても、不思議ではありません。
【参考資料】 http://xn--gckg0b0b8evmbbb.net/water/nansui-kousui.phpより
水の硬度について
ミネラルウォーターはよく「軟水」と「硬水」にわけられて表記されていますが、これは水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量によって分類されています。
この量を硬度と言い、単位はdH(ドイツ硬度)、またはppm(アメリカ硬度)で表記されます。
dHは、水100ml中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシウムの濃度に換算した重量です。
一方、ppmは水1リットル中の硬度を、酸化カルシウムの重量に換算したもので、双方の関係は1dH=17.8ppmとなっています。
軟水と硬水の違い
このdH、あるいはppmの数値によって軟水か硬水かに分類されます。
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きわめて軟水・・・0~40ppm
·
軟水・・・40~80ppm
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やや軟水・・・80~120ppm
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やや硬水・・・120~180ppm
·
硬水・・・180~300ppm
·
きわめて硬水・・・300ppm以上
ちなみに、ヨーロッパの水はほとんどが硬水であり、日本では逆に生活用水の80%が80ppm以下の軟水となっています。
以下、次号につづく
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