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無塩食講座第21講 


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無塩食講座 第21講 2012620日アップ 

料理について

 

1. 今回も、「ウイルスは恐くない」から、「料理について」の文章を転載します。文中に、本当のおかゆの作り方という部分がありますが、この補足説明として、拙著「半断食」からの文章も転載しました。

 

「料理について 

正しい食べものを、よく噛んで少食にすることが基本ですが、病気の程度によっては、料理の良し悪しが問題です。まず、料理とは何かです。一般的には食べたいものを煮炊きして、好きな味つけをしたら良い、ということになると思います。料理とはそもそも何かなどと考える人は少ないでしょう。しかし、人間にとって、料理は大切なことなのです。重病人の場合は、その料理がちょっと間違っていただけで治らないということが、現実にあるのです。

人間だけが、火を使って料理をします(これを、火食と言います)。自然界の動物は、肉食でも草食でも、全て生食です。火を使って料理して食べる動物はいません。火で料理をするということは、食物の分解であり、毒消しであり、消化の第一段階なのです。また、複数の食材によって、新たなものを創造しているのです。昔、高校生の男子が、セミナーに参加しました。全体食、身土不二で、命のあるものを食べなさいという話をした時に、彼が質問してきました。「生の玄米が生きていて、水につけておくと芽が出るのはわかりますが、圧力鍋で炊いて、食べる時には死んでいるのではないですか?」

そりゃそうです。炊いた玄米は、もう芽が出ません、死んでいます。彼が何を間違えていたか、それは食べる時(口に入れる時)に、生きているかどうかではないのです。お鍋に入れるまで生きていて、新鮮かどうかが問題なのです。火食をしている人間の場合だけは、食物の分解、消化は、口から始まるのではないのです。料理の段階から、消化が始まるのです。生食をしている自然界の動物の場合は、分解、消化は、口から始まるのですが、人間は違います。従って、どう料理したかによって、その食物が身体に与える影響負担、善し悪しが違ってくるのです。

中国は4千年間、肉食をしてきた民族です。それだけに、肉の分解、毒消しの料理技術が発達しています。本格的な中国料理は、肉と一緒にその毒消しの野菜や香辛料をたっぷり入れて、何時間も火にかけます。そうすると、お鍋の中で、肉はかなり分解され、野菜や香辛料で毒が中和されてしまっていますから、食べてもマイナスが少ないのです。ところが、ステーキを食べ、その毒消しの野菜、果物、香辛料を摂り、胃の中で分解、毒消しをしようと思っても、簡単にはいきません。胃の中で行う分解消化作用を、お鍋の中でやってしまった方がベターなことは、当然なのです。数千度の高熱ならば、鉄でも溶けてしまうのですから、基本的に火で分解しない食べものなどないのです。ウイルスも熱で分解してしまいます。

話は変わりますが、胃、腸が弱っている時には、玄米のおかゆが良い場合があります。普通なら、圧力鍋でサーとおかゆを作るのですが、極度に貧血の場合には、簡単に作ったおかゆでは間に合いません。本当のおかゆの作り方は、厚手のお鍋に玄米と10倍のお水を入れて、最初からごく弱火で4時間かけて作ります。こうして出来たおかゆは完全にのり状(アルファー化)になっていますから、腸壁にくっついてくれるのです。貧血が進むと、吸収する力がなくなっていますから、このようなおかゆでないと役に立ちません。

玄米にゴマ塩をかけたりします。ゴマ塩とは何か。玄米食を勉強、実践している人でも、ゴマ塩の意味、正しい作り方を知らない人が多いようです。ゴマ塩とは、ゴマと塩を混ぜたものではありません。小さな塩の粒子をゴマの油でくるんだものなのです。塩がゴマ油でくるまれていますから、胃腸の粘膜を刺激しないし、吸収されやすいし、喉が渇きにくいのです。一般の人が認識しているゴマ塩は、単にすったゴマと塩が混ざっているだけであり、これでは効果がありません。材料がゴマと塩でも、出来上がったものは、ゴマ塩という新たなものであり、別な効能が生まれているのです。

ご紹介したパンデミック対策時の飲みものも同様であり、梅生番茶の材料は、梅干、生姜、しょう油、番茶ですが、これを別々に摂っても、梅生番茶にはなりません。作り方が下手なだけで、美味しくないのです。正しいゴマ塩の作り方は、自然食料理の本(巻末紹介)で勉強してください。

もう一つ例を挙げますと、糖尿病の特別食に、「小豆かぼちゃ」というのがあります。普通の小豆かぼちゃとは違って、糖尿病の場合には、ネギのヒゲ根を少量混ぜるのですが、朝小豆を食べた、昼にかぼちゃを食べた、ネギも食べたから「小豆かぼちゃ」と同じだ、というわけにいきません。ネギのヒゲ根入りの小豆かぼちゃという別なものであり、別々に食べても同じような効能はないのです。

ところで、何のために料理をするのでしょうか。当然ながら、食べるために料理をします。生け花とか、絵を描くなら、見るだけです。料理は出来上がったものを鑑賞することが目的ではありません。つまりは、誰が食べるかが問題なのです。自分で食べるために料理をするならば、自分で美味しいように味つけすればよいのですが、別な人が食べるのならば、その人が美味しく感じなくてはダメなのです。ところが、往々にして、自分が美味しいかどうかで作ってしまうことが少なくないと思います。美味しいかどうかの基準は、相手の身体ではなく、自分の身体で判断しているのです。

そして、時には「これ美味しいよ」などと、押し付けることも少なくありません。自分が美味しくても、他の人には美味しく感じないことなど頻繁にあり、それは当然なことなのです。人に食べてもらう料理を作るならば、その作り方、味つけは、相手の身体に聞くべきという基本を忘れているのです。

 

2.以下、半断食からの転載です。この本は、もう26年前に書いた本です。内容的には修正しないと、そのままでは少し問題がありますが、原文のまま転載します。

 

「ある乳ガン経験者の場合」

 正月四日か五日のことでした。府中の断食道場には正月休みを利用して、大勢の人が来ていました。私も牧内会長のお手伝いをして、忙しくしていた時、一人の男の方から電話がかかってきました。

 「妻が病気で成田の救急病院に今運ばれたが、どうしたらよいか」というのです。後で詳しく知ったことも含めて簡単に説明しますと、次のようなことでした。

 四十歳前後の女性でした。七、八年前に乳ガンになり手術を受けました。それが二、三年前に再発したのです。今度は手術をせずに、森下先生の指導を受けて、食事療法を始めたのです。二年間程真面目に玄米・菜食を続けて体調も良くなり、普通の人と同じように元気に生活していました。しかし、ガン腫は依然としてありましたから、何かいい療法はないだろうかと、探している時、砂浴の話を聞きました。砂の中に埋まって、体内の毒を出すという療法です。彼女は、年末から正月にかけて、家族一緒にハワイへ旅行に行き、一週間滞在したのです。食事は玄米食を持って行って、普通のものは食べなかったのですが、毎日パパイヤを1個食べました。そして砂浴をしたのです。

 毎日砂浴をしたのかどうか、わかりませんが、帰国する前日は三時間位、砂浴をしたそうです。ところが、砂浴が終わってからグッタリして、自分で歩くことができず、ご主人が背負ってホテルへ帰りました。

 真っ黒い便を出して成田に着く

 その夜から、真っ黒い便が出始めたのです。本人もご主人も、砂浴の効果で宿便が出てきたと思ったのです。翌日も、やはり疲れきっていて歩くことができず、ご主人が背負って、飛行機に乗り、(幸い飛行機が空いていたので、横になることができた)帰国しました。その間、どんどん黒便が出ていて、成田に着いた時は、誰が見ても異常でした。救急車で近くの病院に運ばれ、検査をしたところ、赤血球が163万位しかなかったのです(普通は400万くらいあります)。極度の貧血状態で、お医者さんは、1本か2本輸血をすぐにしました。

 黒便は宿便ではなく、出血していたのです。

 ハワイに行く前には400万以上あった赤血球が、あっという間に3分の1近くに減ってしまったわけです。

 その成田の救急病院から、ご主人が電話をかけてきたわけです。森下先生のお茶の水クリニックに電話しても、正月休みで誰もいません。以前、ご主人は私の講義を聞いたことがあり、自然医学誌に断食の原稿を書いていた私のことを思いついて、相談の電話をしてきたわけです。

 

 死んでも医者にかかりたくない 

 概略の事情を聞いた私は、そんな死にそうな病人に、うっかりしたことは言えないと思って、「梅干しでも食べさせたらどうか」などと話しながら、素気なく応対しました。

 その翌日、また電話がかかってきました。「東京に知り合いの医者がいるからと、嘘を言って、タクシーで自宅へ帰ってきました。妻も輸血は嫌だと言っています。死んでも現代医学にかかりたくないのです。なんとか、自然医学の方法で治したいのです。ぜひ来てくれませんか」ということでした。

 私は、死んでもよいから医者にかかりたくない、という言葉に心が動かされました。よし、死んでもよいと言うなら行ってみよう、と思って東京の自宅を訪ねたのです。

 彼女はまさに瀕死の状態でした。今死んでも不思議はない、という感じです。救急病院のお医者さんが、とにかく輸血をしないと助からない、と言っていたそうです。

 顔面蒼白で、唇も真っ白、意識朦朧の状態です。ご主人から詳しく経過を聞いてから、私はすぐに大森先生に電話をしました。幸い自宅にいた大森先生に、15分位かかって病状・経過を報告して、指示を受けました。

 

 大森先生の指示内容

 大森先生の指示内容は、次のようなものです。

①くず湯に、73のごま塩を小さじ1杯混ぜて、二日間位飲ませること。

②同時に玄米の重湯を作って、やはり73のごま塩をかけ、少しずつでも食べさせること。梅干もよい。

③ウニの塩辛を買ってきて、やはり玄米の重湯に混ぜて、小さじ1杯食べさせること。

④だんだん重湯が食べられるようになったら、みそ汁も飲んでよい。みそ汁は、昆布だしで豆みそを使い、具はワカメ・ねぎ・玉ねぎ・油あげだけ、油あげは熱湯をかけて油ぬきするように。

 と、以上のような指示でした。

 

 現在の私でしたら、ものの三分もあれば大森先生の指示を受け、その意味も理解できるのですが、当時はまだ、勉強を始めたばかりでしたから、大森先生も詳しく私に解説しながら、先の指示をして下さいました。

 読者の大部分の方には、詳しい説明が必要だと思いますから、以下順をおってお話します。

 

 陰性体質だった

 まず、乳ガンという病気は、陰性な病気であり(注:当時はそう思っていた)、体質も陰性体質でした。

 陰性体質というのは簡単に言いますと、全身が弛緩している人、冷え症で内臓下垂で低血圧で、元気がなく、貧血がち、朝早く起きられない、というような体質です。女性の場合、生理が遅れがちなどというのも陰性な人です。

 逆に陽性体質というのは、体がしまっていて、血の気が多く、活動的で、高血圧気味、動作も早く、朝も早起きだが、時に癇癪を起こすような人です。

 俗に言う陰気な感じ、陽気な感じと同じように考えていただいたらよいと思います。しかし陰性・陽性といっても、それは固定的なものではなく、変化すると同時に、誰でも両面持っています。全体としては陰性体質でも、陽性な部分もあるわけです。

 

 陰性体質+陰性な果物=危険

 その陰性体質の人に、陰性な果物は、マイナスになるのです。ハワイでもまだ寒い正月に、極陰性な果物であるパパイヤを毎日食べ、さらに砂浴で体内の塩分を、一気に抜いてしまったために、血液が崩壊してきて、腸壁から滲み出してきたのが、彼女の出血の原因なのです。

 

 止血作用のあるごま塩入りくず湯

 この出血を止めるために、ごま塩を入れたくず湯が効くのです。出血という症状自体が陰性な症状なのです。ケガをして出血した時、また、ちょっとぶつけたらすぐ内出血を起こすなどは陰性な症状です。これにはごま塩という陽性なものをとってやると、出血を止めることができます。彼女の場合は腸からの出血ですから、整腸作用のあるくず湯といっしょにごま塩をとるとより効果的なのです。普通玄米にかけて食べるごま塩は、ごま8に対して塩2の割合のものを使いますが、出血を早く止めるには、塩気の強い7対3のごま塩を使います。

 くず湯というのは、本物の吉野葛を水に溶かしとろ火で熱したものです。市販されている片栗粉ではダメです。

 ごま塩を上手に作るのは、なかなか難しいもので、特に腸の悪い人の場合は、よくすらないといけません。玄米食をしている人でも、正しいごま塩の作り方を知らない人が多いのです。ごま塩を見れば料理の腕がわかるという位で、いい加減なごま塩では、重症の病気は治せないのです。

 

 玄米の重湯

 次は重湯です。私達の血となり肉となる基本の材料は、未精白の穀物で、主に玄米ですから、普通の人なら玄米をよくかんで食べてばよいのです。しかし、彼女の場合は極度の貧血状態ですから、玄米をかむ力もありませんし硬いものはとても消化吸収できませんから、重湯にするわけです。普通なら簡単に作った重湯でよいのですが、彼女の場合は腸がやられていますから、時間をかけて、完全にのり状態になった重湯で無ければ、身につかないということで、大森先生は、重湯の作り方を次のように指示されました。一合の玄米に十倍の水を入れて、初めから、ごく弱火で四時間かけて作る。途中でフタを開けたり、かき混ぜたりしてはいかない、ということでした。このようにして作った重湯は、完全にのり状になっていて、腸壁にくっついてくれるのです。

 

 貧血にはウニの塩辛

 次にウニの塩辛ですが、普通のウニではなく、トゲのない陽性なウニに、塩が20%位入った塩辛を、貧血のひどいガンの患者さんなどに、当時大森先生はよく使っていました。早く貧血を治すのに効果があるのです。

 

 昆布だし・豆みそのみそ汁

 みそ汁も、陽性なみそ汁を作らなくてはいけませんから、だしは昆布だけです。しいたけは大変陰性なもので、肉食の血の気の多い人が使うには良いですが、貧血の陰性な人がしいたけを食べたり、だしに使っていたら、ますます陰性になってしまいます。

 みそは麹によって、米みそ・麦みそ・豆みそと三種類ありますが、一番陽性な豆みそを使うわけです。米みそ・麦みそは陰性なのです。陰性な体質、病気の人が、米みそ・麦みそを使っていると、なかなかよくなりません。特に米みそは、病人には使わない方が安全です。毎日飲みみそ汁のだしやみそが、間違っていると、影響が大きいのです。

 具も、陰性な病人は、青葉や豆腐など、陰性なものは使えませんから、ワカメ・ねぎ・玉ねぎ・油あげだけなのです。市販の油あげは、油が酸化していて悪いですから、熱湯をかけて、油抜きをするわけです。

 

 わずかずつ回復へ

 以上のようなことを、作り方を含めて、詳しくご主人に話し、私は帰ってきました。最初は、ごま塩もうまく作れず、重湯も、火が強すぎて焦がしたりしたそうですが、二、三度やっているういるうちに、うまく作れるようになり、それを小さじ1杯ずつ食べさせたのです。

 三日後にまた自宅へお伺いした時には、少し食欲が出てきて、時間をかければ重湯を、一日一膳以上、食べられるようになりました。

 

 話ができるまで回復

 七日後に行った時は、完全に食欲が出てきて、真っ白だった唇にも少し赤味が出てきて、私と色々話しができるようになっていました。もちろん、まだ寝たきりの状態ですが、「助かったな」と私は感じました。今後の食生活については、大森先生の指導を受けるように紹介をして、私はその後本人とは会っていません。

 半年程経過したころ、たまたま、ある講演会場でご主人と出会いました。その後の状況を聞いたところ、彼女は、三カ月目ころには、近くに買いものに出かけられるようになり、貧血も治っていたとのことでした。

 昔から「食が血となり肉となる」といいますが、正しい食物で簡単に貧血が治る事実に、改めて驚くと同時に、飲み物・食べ物が、少しでも間違っていたら、彼女は助からなかったろうと思います。

 

                     以下、次号につづく


                            

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