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無塩食講座第18講 


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無塩食講座 第18講 2012530日アップ 

岩田式本能法

 

1.今までは、無塩食講座の内容を整理して出版する予定でいたのですが、この方針を変更することにしました。つい先日、散歩をしながら色々と考えている時に、本にすること(出版する事)は、私の場合はマイナスになることに気がつきました。

  この講座の読者の皆様にとっては、関わりのないことと思いますが、参考までにどうして出版することがマイナスになるのか、説明します。

 

2.当然なことですが、本というのは売れないとどうにもなりません。その本の内容がどんなに素晴らしいものであっても、本にして出版した以上はお金を出して買ってくれないと、その内容を伝えられないのです。本の出版の際には、著者は出版社と出版契約をとりかわします。

  出版社は、購入希望者がいれば、その本を出版する義務を負います。著者は、その本に書いた文章を、別な本やインターネットなどに、自由に転載することはできないのです。

 

3.具体的にお話しますと、私の無塩食講座の内容を本にして出版してしまうと、同じ文章をインターネットで無料で閲覧できるようにすることは、出版契約に違反してしまい、できないわけです。

  本が10万部も100万部も売れるようなら、それでも良いのですが、1,000部~2,000部しか売れないとなると、無塩食の内容を世に広めたい、伝えたい、という希望があっても、できなくなってしまいます。

 

4.そこで、出版することをやめてしまえば、私のこのような原稿を自由に一瞬にして世界中に配信することができるのです(もっとも、閲覧してくれる人が少なければ同じことですが)。本に書かれた内容を伝えるためには、物であるこの本を移動させる費用と時間が必要です。しかも、印刷、製本にたくさんの費用がかかり、売れ残った在庫の本を管理するだけでも大変です。ところが、インターネットならば、何の費用も、リスクもなし時間、距離を超越して、情報を伝えることができるわけです。

  食べものをインターネットで一瞬にして世界中に送ることは無理ですが情報は(紙の本という物に変えなくても)、そのまま世界中に送ることが可能なのです。従って、私にとっては、独自の発想である無塩食の理論と実際を、より多くの人に知ってもらうためには、出版するよりも、インターネットのみで情報発信する方がずっと早く、広く、費用も安く、多くの人に伝えることができるということです。

  個人が発する情報を世界中に送ることなど、昔では考えられなかったことが、今はいとも簡単にできるようになっているのです。

 

5.さて、2週間程前から、急な用事ができて、毎日その用事に追われています。そのため、予定している無塩食講座を再度、整理して書きなおす時間がとれません。

  今回は、森下先生の自然医学誌に、昔連載していた原稿から、岩田式本能法の原稿を転載させていただきます。この原稿を書いていた頃は、半断食の指導をしていて、無塩食など想像もしていなかった頃です。

 

 

 【岩田式本能法】(自然医学誌の原稿から転載)

今、自分に必要な食べ物、飲み物は何か、それは考えてもわからないし、人に聞いてもわかりません。正しい答えは、自分自身の生命の声を聞く以外にないという真理を、少しでも実感、体験する一つの方法として、半断食があります。半断食の際に出てくる様々な反応に対して、どう対処すべきか、知識や経験では間に合わないのです。むしろ、知識や過去の経験にとらわれると間違うことになりがちなのです。「わからない」ということが本当にわかってくると、一切をお任せする以外にないということになり、無駄な力が抜けてくれば、自らの生命の声が聞こえてくると思います。

半断食が食べ物について、生命の声を聞く方法の一つとするならば、運動については、岩田式本能法というものがあります。岩田式本能法と類似のものとして、リズム療法とか、活元運動、霊動法など、いろいろあるかと思います。しかし、内容的にも、実質効果の点でも、岩田式本能法が最も正しいのではないかと思います。治療的な効果を含めた運動法としては、岩田式本能法が最高であり、これ以上のものはないと思っているのですが、なぜか一般には受け入れられないようです。

さて、本能法とは何か、それをお話する前に、岩田先生が本能法を発見された経過が面白いので、簡単にご紹介します。岩田先生のお子さんが病気になり、ありとあらゆる治療をしましたが、どうにも治りませんでした。もはや、なすすべもなく、連夜の看病に疲れた体を引きずって、妙見様に行って一心にお祈りをしましたが、寝不足で疲れていたため、いつの間にか、眠ってしまったのです。そして、夢をみました。その夢の中に、白髪の老人が出てきて、岩田先生に言いました。「心身の力を抜きなさい」。

 夢から覚めた岩田先生は、子供の命を何が何でも助けなくてはならないという気持ちで、焦っていた、とらわれすぎていた、力の入りすぎていた自分を知り、老人の言うように、心身の力をダラリと抜いてみたのです。そうしますと、無意識のうちに身体が勝手に動きだして、そこらじゅうをころげまわったのです。数時間の間、本能の動きに身を任せて、ふっと気がついたときは、疲れきっていた身も心も爽快になっていました。「これだ。これこそ本能の妙行だ。ああ本能有我体」というわけで、死にかかっていた子供にこれを教えると助かった、というわけです。

 本能法と、一般の体操とは、まったく違います。要点を対比すると、以下の違いがあります。( )の中は、一般の体操の場合です。本能法は、思わずする無意識的な動き(わざとする意識的な動き)、入ってきた力の動き(入れた力の動き)、努力のいらない動き(努力のいる動き)、疲労を覚えない動き(疲労を覚える動き)、過不足のない動き(過不足のある動き)、無欲的な動き(我欲的な動き)、神意的な動き(人意的な動き)、時間、空間を意識しない動き(時間、空間を意識する動き)。

 本能法とは、いわば寝相のような動きです。寝相の動きとは、無意識に行っている異常修正の動きであり、努力のいらない動きです。寝相で動き回って、疲れることはありません。しかし、意識的に行う体操の場合は、必ず疲労が伴うのです。

 目的を持って、わざと力を入れる動き、努力を必要とする動きの場合は、力に過不足があるのです。本能による動きには、力の過不足がありません。かゆいところを無意識のうちにかいて、かきすぎることはありません。かき足りないこともありません。かく場所を間違うこともないのです。寝相で動き回っても、時間の経過を意識しませんが、普通の体操の場合は「もう一時間すぎた」とか、「横の人とぶつからないように」とか、時間、空間が意識されます。つまり、本能法とは、誰もが日常無意識に行っている異常修正の動きです。まばたきをしたり、あくびをしたり、伸びをしたり、貧乏ゆすりをしたり、などの無意識に日常行っている動きも、本能法の動きです。赤ん坊は、一日中、本能法をやっているのですが、大人の場合は、本能的動きにブレーキがかかってくるのです。かゆいところを無意識にかくといっても、人前では、場所によってはかかないのです。寝ている時ならどこだってかきますし、一人でいるならば、かゆければどこでもかけます。しかし、状況によっては、かくことにブレーキがかかるのです。本能的な動作が抑制されるわけです。従って、本能法を行うには、赤ん坊のように、心身の力を抜けばよいのです。無駄な力がすっかり抜けたときには、今、必要な本能の動きが出てくるのです。

 心身の力が抜ければ身体が勝手に動いてくるといっても、話としては理解できても、実際には、なかなか難しいのです。これを実感、体験すると簡単なことなのですが、実践においては、すぐには出来ない人が多いと思います。

 私も、最初に岩田先生の講習会を受講した時は、戸惑ったものでした。楽な姿勢で、眼をつぶって、ただ力を抜きなさいと言うだけです。岩田先生が言うことは、「力を抜け、力を抜けば、自然に身体が動いてくる」と言うのですが、さっぱり動かないのです。活元運動というのがあります。本能法と共通した部分があると思います。活元運動の場合は、導入的な動きがあって、これは意識的に行う動きですから、誰にでも入りやすいように思います。それと比較すると、岩田先生の本能法の指導は、ただ力を抜くことだけですから、入りにくいように思います。しかし、ひとたび本能法の動きが出てきたら、ビックリするようなことが色々あります。それが本物かどうか、自分自身ですぐにわかるのです。身体は勝手に動いているのですが、意識がありますから、自分自身の動きを自分で見ているのです。

 普通の体操なら、やり方があり、手順があり、本で説明も可能であり、先生に教わることができます。しかし、本能法は体操ではありませんから、やり方も何もありません。必ずしも、動きを伴うわけでもありません。ジーと静かに深い呼吸になったり、時には、寝てしまうこともよくあります。本能法の説明は、とても紙面では難しいのですが、もう少し私の体験などをお話します    

一般の体操は、何らかの目的、効果を考え、意識的に力を入れて行いますが、本能法の動きは、その時に命が必要としている動きであり、体が勝手に動くのですから、まったく努力を必要としない動きなのです。どんなによい体操(ヨガなど)でも、2時間も続けてやっていたら、それなりに疲れてくると思います。しかし、本能法の動きは、何時間続いても、疲れることはありません。寝相で一晩中動き回っていたとしても、朝、動き疲れたということはないのです。自然治癒力の現われとしての動きですから、少しの間違いもないのです。

 さて、それでは、本能法とは、一体どんな動きなのか、もう少し具体的にお話したいと思います。まず、本能法から見つけた腰痛に効果のある体操をご紹介します。上向きに寝て、両膝を軽く立てて、この両脚を左右にバタンバタンとリズミカルに倒すのです。大切なことは、足、腰、お腹など、全身の力を出来るだけ抜いて行うことです。両膝がくっついていようが、離れていようが、そんなことは気にする必要がありません。左右に倒すというよりも、力を抜いたら、落ちるという感じです。とにかく、力が抜けていないと効果がありません。この体操は、大勢の腰痛のある人が本能法を実践したときに、その本能法の動きの中で、誰もが似たような動きをするということから、見つけた体操なのです。しかし、腰痛の原因は人によって様々ですからこの体操で腰痛がよくなるかどうかはわかりません。腰痛のある人は、一度試してみてください。1回に行う時間は3分でも10分でも、自分で気持ちのいい範囲です。次に、ご自分の右手こぶしで左肩を叩いてみてください。その動きを10分間、連続して続けられますか?2、3分で右腕が疲れてしまうと思います。本能法の動きの中で、自分で肩叩きをする動きがあります。本能法の特徴は、疲れない動きです。10分間続けても、疲れない肩の叩き方があるのです。立って右腕、肩の力をすっかり抜いて、右腕をブラブラさせてください。そのブラブラを大きくして、右手を左肩のところまで振っていくのです。右手が肩にぶつかる直前に右手を軽く握って、こぶしにするのです。こぶしが左肩に当たったらすぐにこぶしをほぐして力を抜きます。右腕はブランと下後方に振れますが、ブランコのようにまた左肩にぶつかるように振ってやるわけです。やってみれば誰でもすぐにわかると思います。力を抜いてやれば、まったく疲れないで、10分くらい、この動きを続けることが可能だとわかります。

 さて、私が本能法のすばらしさを実感した体験をお話します。約40年程前で、お茶の水クリニック在職時のことです。近くの食堂で、料理の先生と一緒に、昼食に天麩羅を食べました。事務所に戻ってきて、突然、本能法をやろうと思ったのです。本能法など忘れていた頃なのですが、たまたま、時間が空いていました。絨毯を敷いた部屋で、いつものようにアグラを崩したような楽な姿勢で座って、目をつぶって、力をダラリと抜いていきました。すぐに動きが出てきましたが、それがいつものパターンと違うのです。いつもは、左右にねじったりしながら、そのうち横に寝転がって、ゴロゴロしながら、腰とか、腎臓の刺激になるような動きをすることが多いのです。ところが、この時は、座ったままで、上半身を左右に大きくねじる動きが最初から最後まで続きました。

 最初は、いつもと動きが違うなーと思っていましたが、体は勝手に動くのですから、意識は自分の動きを見ているだけなのです。このねじる動きが5分、10分続いても、一向に終わらないのです。「変だな~おかしいな~。イツまでこんなことばかりやっているのだろう」と思いながら、結局45分間、この動きが続いたのです。

 次の日の朝、一緒に食べた料理の先生が私の顔を見るなり、「昨晩大丈夫だった?」と声をかけてきたのです。その先生は、夜中に腹痛で大変な目にあったとのことでした。昼食で食べた天麩羅に、ホタテの天麩羅があり、それが悪くなっていたに違いない、とのことなのです。料理の先生は食べながら、チョット変だな~と思っていたようなのです。

 私は何ともありませんでした。本能法の後、一時間位してから、昼食で食べたものを全部下痢してしまっていたのです。その時は、大量に下痢したな~と思っていただけでしたが、翌朝の料理の先生の話を聞いて、全てがわかりました。昼食に食べた天麩羅が悪くなっていたのです。体は、この悪いものを早く体外に出す必要がありました。そして、たまたま条件が整っていたために、本能法を行ったのです。45分間、続けた動きは力を抜いて、お腹を左右にリズミカルにねじっているのです。改めてその動きをやってみると胃、腸の中の食べたものを、ドンドン下に下に送るような動きなのです。実際に、昼食べたものが、夕方4時頃には、全部下痢して出てしまったように思います。その結果、私は何ともなかったのですが、料理の先生は夜中に腹痛を起こしたということなのです。

 心身の力を一切、抜くのです。そうしたら、その時、その人に必要な動きが出てくる。これが本能法なのです。一度体験すると、簡単なのですが、すぐに出来る人は少ないようです。まず、意識的体操でもいいですから、無駄な力を抜いて、行う練習をしてみてください。そのような心がけていれば、いつか本能法が出来ると思います。


  
                   以下、次号につづく


                            

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