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無塩食講座第6講 


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無塩食講座 第6講 201237日アップ

「ゲルソン療法との出会い」 

1.この原稿を書く前に、再度、第一講から第五講までの原稿を読み返してみました。その結果、いくつか校正ミスや脱字のところがありました。全体の意味がわからないとか、理解が逆になるようなことはありませんが、修正しました。

 

2.この一連の原稿を読んで、私が皆様にお伝えしたいことが正しく伝わるか、わかりやすいのかと懸念しています。過去に色々な原稿を書いてきて伝わっていないな〜と思うことを少なからず経験しているからです。

  今後において、重要なポイントを再度整理していく予定ですが、ぜひもう一度読み返していただけたらと思います。そして、よく分からないと思われる所がありましたら、掲示板に投稿してください。すぐに詳しく解説できないかもしれませんが、今後の原稿の中で必ず説明させていただきます。

 

3.さて、無塩食を開始して3年半の中で体験したこと、気がついたことのお話がまだまだ続きます。今回はゲルソン療法との出会いについてです(ゲルソン療法についての詳しい内容、私が提案している無塩食との違いについては、後日のレポートになります)。

 

4.無塩食セミナーを開始して1年後の20098月に福島県の只見という所で友人のヨガの先生の合宿がありました。私はお手伝いの講師で、半断食や正しい食生活について講義を担当していたのです。

合宿セミナーの開始前に、主催者であるヨガの先生に言いました。「1年前から、セミナーのシステムを変えている。三島のセミナーは、これこれで無塩食という内容でやっている。」これに対して、彼は「ゲルソン療法と似ているね」とのことです。私は「ゲルソン療法というのは、野菜や果物を食べるというだけだろう」。彼は、「いや、ゲルソン療法は無塩のはずだよ」。

 

5.私は三島事務局の澤井香日子さんにTELをしました。「インターネットでゲルソン療法の本を調べて、数冊買ってください」。大森先生との雑談の中で、ゲルソン療法という言葉を何度も聞いていたのです。しかし、詳しくは知りませんでした。大森先生のお話しされたことも「ゲルソン療法は、陰性な野菜や果物を食べるやり方だから、陽性なガンにはある程度効果がある」というような印象だったのです。

   大森先生が評価していない療法なら、特に勉強する必要がないという私の勝手な思いこみがあったかと思います(実際に、大森先生がゲルソン療法について詳しく知っておられたかどうかは確認していない)。

6.実は、その時に買ったゲルソン療法に関連する書籍4、5冊をきちんと全部は読んでいないのです(このうちの1冊はオランダの友人に貸してしまったので、今手元にありません)。2年半前にゲルソンの本をパラパラとめくって、ゲルソン療法が、私が独自に考えだした「無塩穀菜食とほぼ同じものだ」ということがわかりました。そして、ゲルソンの一文を見て、「やっぱりそうか!」と思いました。その一文が載っていた本が、今手元にないので記憶している内容は「私が今まで指導した末期のガン患者で、残念ながら助からなかった人の多くが、最後に肝性昏睡を起こして亡くなっている」ということです。

 

7.手元にあるゲルソンの本の中に、同じ内容のことが次のように書かれて  います。

「腫瘍が破壊され、分解され、吸収された後でも、回復までには解毒器官とくに肝臓と腎臓には常に大きな負担がかかっているということを、忘れてはならない。もし、これら余分の有害物質の排出を、日夜一生懸命に助けるようにしてやらないと、患者は肝臓昏睡に陥るという深刻な危険も生ずる。私がこの治療法を始めた初期の頃に経験したのが、それだった。」(徳間書店、マックス・ゲルソン著、今村光一訳「ガン食事療法全書」の173頁からの抜粋)。

 
「肝性昏睡の原因について」

8.肝性昏睡については、私自身も忘れ難い経験があります。拙著「ウイルスは恐くない」65ページの「Aさんの話」の全文を、ちょっと長いですが以下、転載します。

 

Aさんの話

25年ほど前のことですが、私は横浜で半断食道場をやっていました。ここは現在のような短期のセミナーではなく、重い病気の人を治す目的で行っていました。ですから、長い人は1ヵ月も2ヶ月も道場に滞在していました。Aさんは、この道場に来た40歳代の肝硬変の人です。まだ寒い時期でしたが、彼は雨が降ろうが、風が吹こうが、毎朝6時に出発して2時間位の散歩に行っていました。他の人は、今日は雨だから散歩はやめる、という時も、彼は合羽を着て、1日も休まず散歩に行っていたのです。一般的に肝臓病になる人は、陽性で意志の強い人が多いのです。1ヶ月近く経過したある日の朝、彼が散歩に行かず、寝ていたのです。それまで1日も休まず6時に出発していたのですが、10時過ぎになっても起きてきませんでした。疲れて寝ているようだから、無理に起こさなくてもいいと思っていたのですが、昼ごろになって、同室の男性が「先生、チョッと変です。来てください。」とのことです。すぐに部屋に行ってみると、寝巻きのまま目を半開きにして、ぼやっと立っていたのです。明らかに様子が変でした。名前を呼んでも、返事をしないのです。そのうち、そろそろと歩き出して、部屋の隅の方をノロノロ歩くのです。

 あとで理由がわかったことですが、ベランダの近くや、窓のそばを無意識でノロノロ歩いていたのです。肩をゆすったり、何度も大声で名前を呼んでも、一切反応がなく、そのうち畳の上に崩れ落ちて、いびきをかき始めました。生姜シップでお腹を暖めたりしてみましたが、意識が戻りません。しばらくして、失禁し始めたのを見て、私の限界を超えていると思い、知人の看護師さん(当時病院で断食指導もしていた日野厚先生の下で働いていた女性)に電話して経過を伝えました。彼女は、「國清さん、肝性昏睡の疑いがある。すぐに救急車を呼んだ方がいいよ」とのアドバイスでした。

 救急病院で応急処置をした翌日のことです。大量の宿便が出たとたんに、意識が正常に戻りました。宿便を出すために、お腹に血液が集中していたのです。もうひとつ、別な原因がありました。当日の夜、同室の人が寒かったために、ガスストーブを長時間つけていたのです。エアコンがなかったので、ガスストーブを置いていました。長くつけないよう注意していたのですが、同室の人は陰性体質で寒がりでした。横浜の道場は、大きなマンションを借りて使っており、密閉したマンションで、ガスストーブを長時間つけたために、部屋の中の酸素が不足してしまったのです。肝臓病で血液が汚れている人には、少しの酸素不足でも大きな負担になるのです。宿便が出かかっていて、血液がお腹に集中している上に、酸素不足で一時的に昏睡状態となってしまったわけです。しかし、意識不明のまま、窓の近く、ベランダの近くをどうしてノロノロ歩いたのか、後日、大森先生に報告してわかったのですが、それはアルミサッシのわずかな隙間から入ってくる外の新鮮な空気を求めていたのです。すべては必要な動きだったのです。しかし、その時は、意識不明のまま、部屋の隅をノロノロと歩くのがどうしてなのか、さっぱりわかりませんでした。

 さて、彼はその後どうなったか、本人はまた私の半断食道場に戻りたいとの希望でしたが、お金持ちのお父さんが大学病院の特別室に転院させたのです。そこで、検査のためお腹を切ったのですが、ミスがあったとかで、出血が止まらず、1日で亡くなってしまいました。アルコールが好きな人とか、甘いものをたくさん食べて、かつ血液が汚れている人は、出血したときに止まりにくいことがあるのです。」

 

9.上記のAさんの件は、今思い返してみても残念であり、また救急車を呼ぶのが遅れていたら、どうなっていたかと思います。とにかく、肝性昏睡とは、血液中の毒素を肝臓が処理しきれなくなり、血液状態が極度に悪化して、昏睡になるということです。

 

10.ゲルソン療法を実行したガン患者が、なぜ肝性昏睡に陥るかというとガン腫が一気に分解してきた場合に、その時に発生する毒が血液中に溢れてきて、それを中和するための野菜、果物、水分が不足したら、肝性昏睡を起こすと思われるのです。

 念のため、最初から順をおって説明します。

@まず、ガン腫と言う体内に発生した腫れものは、塩分を含んだ毒素のカタマリと考えてよいかと思います。毒素のカタマリという意味は、切り取っても命に差しさわりがないようだということです。心臓を切り取ったら死んでしまいますが、ガン腫を切り取っても死なないから、命を保つ上で不要なものということで、わかりやすく毒素のカタマリと表現しました。しかし、本当は、子どもの頃に将来の飢餓に備えて備蓄した栄養物(肉類)の変化したものがガン腫ではないかとも考えられます。

A無塩食を実行すると(ゲルソン療法も無塩)、血液中の塩分が不足します。血液中の塩分が一定以下になると、命にかかわる非常事態ですから生命の働きは、体内に蓄積している塩分を含んだものを分解して、不足の塩分を血液中に送りだしてきます。その時に、当然ながら、塩分だけでなく蛋白質や脂肪を分解した時に発生する毒素も一緒に血液中に溶け出してきます。

B体内にある塩分を含んだものを分解して、塩分を補うとしても、塩分を含んだものなら何でもよいというわけにはいきません。たとえば、心臓の筋肉を分解して、不足の塩分を補うということにはならないのです。つまりは、できるだけ生命に差しさわりのない、不要なものから分解してくるわけです。それが、よけいな脂肪であり、腸壁にこびりついているような動物性のものであり、ガン腫などの体内の毒なのです。

  とにかく、無塩食を続けていくと、ガン腫が分解してくるのです。その時に発生してくる毒素の解毒、中和、排出が間に合わないと、血液が濁り、粘り、肝性昏睡に至るということです。

 

11.マックス・ゲルソン博士は、今から約130年前の1881年ドイツに生まれた人です。偏頭痛に苦しみ、そのために色々な食事制限を試みて、その体験からゲルソン療法を完成 させていったとのことです。現在、世界的にゲルソン療法が見直されてきたようです。

現代医学に見放された末期ガン患者が、奇跡的に回復しているという事実が少なからずあるからこそ、継続、拡大していると思います。日本には、本格的なゲルソン療法の病院はありませんが、星野仁彦医博の本が出版されています。星野先生は、心療内科、精神科のお医者さんです。大腸ガンから肝臓に転移し、5年生存率0%の状況から、ゲルソン療法によって、すでに20年間、元気に活躍されています。ぜひ、星野先生の著書を読んでみてください。

「末期ガンを克服した医師のゲルソン療法のススメ」(株式会社アスコム)
「ガンと闘う医師のゲルソン療法」(マキノ出版)

 

12.ゲルソン療法及び星野式ゲルソン療法と、私が提案している無塩食の内容は、大筋で一致していますが、細かな点については違っています。これについては、後日、整理してお話したいと思います。

 

13.40年程前に、東京の森下敬一博士のお茶の水クリニックで6年間在職しておりました。当時も今も、全国から現代医学に見放された病気の人が森下先生の食事指導を受けに来ています。大半が、ガン患者なのです。私はその後、断食指導、大森先生に出会って半断食指導を続けてきたのですが、その間に多くのガンの人と縁がありました。

    私のセミナーに来たガンの人の場合は、大森先生の面接指導を受けていただいたのですが、正直なところ本当にガンの人が治ったというケースは少ないと思います。10年以上も前に手術して、今も元気というのは、最初からガンではなかったのでは、と思われるケースが多いのです。

   末期のガンの人で、奇跡的に治ったという人を殆どみていないし、一時的に良くても、直に悪化しているという印象が強かったのです。そのような私の体験から、玄米菜食を徹底して実行し、必要なら生姜シップと里芋パスターも1日数回続けていけば、ガンも治るということは言えませんでした。

 

「卵巣ガンのKさんの事例」
14.しかし、無塩食を始めて、ゲルソン療法を知るに至って、末期ガンが治っても不思議ではない、もしかしたら、本当に治るかもしれないという気持ちが出てきていました。そんな時に、Kさん(女性、当時54歳)が無塩食セミナーに参加されました。約2年前の20107月と8月の2回のセミナーに続けて参加されたのです。Kさんは、その1年前に卵巣ガンで余命4カ月と告知されていたのです。当然、医師からは手術を勧められていましたが、手術は受けずにマクロビオティック(玄米菜食)の食餌療法をやっていました。しかし、腫瘍はだんだん大きくなって、セミナーに来た時には16p以上とのことでしたが、特別に辛い症状はなく元気な感じでした。

    7月のセミナーで無塩食を始めて、そのまま続けて1カ月後の8月のセミナーの後も、無塩食を続けていたのです。時々、メールやTELで相談、報告があったのですが、本人は無塩で何ともない、体調もいい、毎日散歩しているとのことで、私も心配しながらも(いつまでも無塩を続けていいのか?)、本人が調子がいいならいいかという感じでした。

 

15.その年の12月中ごろだと思いますが、Kさんから私の携帯に電話がありました。「先生、ガンが破裂しました」とか言うのです。「ええ〜」と私は驚いて、肝性昏睡の一歩手前で危険な状況かと思ったのです。しかしどうも様子が違うのです。その時の記録がないので、Kさんの表現、内容が正確ではありませんが、以下、一連の経過とその後のことです。

 

@7月から完全な無塩食だったのか、どうかわかりませんが、本人から聞いていた私の記憶では、3カ月以上ほぼ無塩食のような感じでした(そうめん、うどんにも塩分が入っているから、完全な無塩ではないと思う)。

A12月中旬に突然、お腹が激しく痛み出してどうしようもなくなり、かかりつけの病院へ行ったとのことです。そこで検査したところ、ガン腫がぺしゃんこになっていたようです。ガン腫が破裂したという表現はKさんが言ったのか、お医者さんの言葉なのかわかりませんが、検査でカタマリがなくなっていたのです。

B翌日には、かなり痛みが引いてきて、私にTELしてきたのがいつなのか、その次の日位かもしれません。まだ少し痛むけれども、大丈夫という感じでした。

Cその後、Kさんは医者の勧めで手術をしたのですが、それがどんな手術なのか、よくわかりません。しかし、手術の翌日には「もうトイレに歩いて行った」とかのメールをもらっています。

D先日、Kさんに「無塩食友の会」が発足したことをお知らせし、できたら詳しい体験記を書いてほしいとお願いしています。引き受けていただいたのですが、まだ届いていません。とにかく、今もお元気のようです。

 

16.私はKさんの経過をみて、ゲルソン博士の言葉通りであり、ゲルソン療法でガン腫が分解し、治る可能性が十分にあることを再認識した思いです。しかし、2年前にはまだ私は無塩食に伴う重大な問題点について、正しく把握していなかったのです。

    それは、第五講のレポートに書いた「排毒で血液が悪化してきても、喉がかわくというセンサーが働かない」。結果として、溶け出してくる毒を中和するための野菜、果物、水分が不足してしまうのです。ガン腫がドンドン分解してきたら、一気に肝性昏睡になってしまうわけです。しかし、それよりも徐々に毒が溶け出してくる場合の方が、気がつきにくいだけに恐いのです。

 

※注意

「無塩食とは何か」についての解説はまだまだ不十分です。よくわからないまま、長期の無塩食を実行することは、時には危険です。Kさんが34カ月もほぼ無塩食を続けたのは、特別のケースです。普通の人が健康法として、無塩食を日常にとり入れるにはどうしたらよいか、またその際の注意事項あれこれは、これからのレポートで書いていくことになりますので早飲み込みしないでください。念のため。


 

 

                                                 以下、次号につづく

  

                            

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