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無塩食講座第8講 


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無塩食講座 第8講 2012321日アップ

「無塩食に過食なし」

1.第七講の中で、「完全無塩食実行中は、過食という現象は起きない」
「美味しく感じるものを食べたいだけ食べも良い、というよりも要求するだけとらないと、毒を中和できない」ということをお話ししました。

  この点について、少し補足説明をしておきます。

 

2.日頃過食がちで、時には苦しくなるまで食べてしまうとか、または吐くまで食べるなどという人であれば、「食べたいだけ食べて良い」となったら、過食になるのではないかと危惧すると思います。しかし、実際にやってみるとわかりますが、無塩食の場合には、過食にはならないのです。身体が必要としている量を食べたら、それからさらに食べる気にならないのです。例えば、喉が渇いて水を飲む時に、コップに1杯入れても、半分飲んだところでもう充分と感じたら、もう残りは飲む気になりません。

  過食という現象は、塩気のあるもの、塩分を一緒にとっている時でないと起きないのです。

 

3.「過食症は、塩分のとりすぎで、胃酸が出過ぎているのだから、塩分を減らせば過食症は治る」ということは、大森先生から聞いていましたので昔の半断食セミナーの頃も、過食症の人には、一時的に無塩食を勧めていました。30代の女性で、ひどい過食症の人が、無塩食をやったら、異常食欲がなくなったという体験も聞いていたのです。

 

4.水だけの断食で、減食の時は食欲がありますが、断食に入って2日目頃には食欲が全くなくなっています。これは、胃液の分泌が止まっているために、食欲もなくなってくると、昔の断食関係者は言っていたのです。

  大森先生のお話でも、胃酸を作る原料は塩だから、塩分を減らせば胃液の分泌も減る。つまりは、異常食欲がおさまる、とのことでした。逆に胃腸が丈夫で、塩分過剰の人は、胃液がドンドン出てきて、いくら食べてもまだ食べたいということになるわけです。

 

5.生理的な因果関係については、正確に分かりませんが、無塩食を続けていると、(2日〜5日位で)だんだん食べる量が減ってくる人が多いのです(個人差が大きい)。食欲がなくなるのではありません。食べたいだけ食べて良いとなっても、少しの量でもう充分という感じになることが多いのです。つまりは、無塩食を始めた最初の2、3日は、解けだしてくる毒の量が多いということです。それを中和するための野菜、果物をたくさん必要とするわけです。

  それは、体重の減り方を見てもわかります。最初は体重の減り方が急ですが、だんだんゆるやかになってきます。第四講で3日目に6kg減量したAさんが、そのまま無塩食を続けたとしても、6日間で12kgも減ることはありません。

 

6.ある無塩食セミナーのお手伝いをしていた女性のお話。

 「いつも注意しないと、過食になります。目の前にあるとなくなるまで食 べてしまうのです。

  ですから、無塩にしているとだんだん食欲が少なくなってくると聞かされても自分には当てはまらないのではと心配していました。ところが、今日4日目になって、ある程度いただいたら、もういらないという感じなのです。こんな感覚は初めてです。」

 
7.三島のセミナーに2回参加された30代前後の女性のことです。彼女はマクロの食事もやっていて、色々勉強している聡明な女性でした。2回目は友達を連れて一緒に無塩食セミナーに参加されたのです。皆さんが食べているテーブルと、バイキング無塩料理を並べているテーブルは別になっていますから、お皿にとった料理がなくなったら、何度でも追加して食べているわけです。ところが、2回目の彼女が、他の人と比較して2倍位の量を食べていた(頻繁に料理を取りに往復しているから、目立った)のです。

  それを見ていた香日子さんと家内が、台所でコソコソ話をしていました。

 「彼女、チョッとおかしくない?すごい量食べてるよ。前回、来た時はあんなんじゃなかったよ」「そうねー、何か感じがおかしいね」とか、話しているのです。

  私は食べたいだけ食べて良いと言っているのですから、前回と違っていたとしても、問題はないと思っていました。しかし、次の日の朝の「体調報告書」をみて、「あー原因はこれか」とわかったのです。そこには、生理3日目となっていたのです。

 

8.一般的に、生理の出血開始前後に、異常食欲が出たり、イライラしたりその他の症状が出ることがよくあります。これはどうしてかというと、生理の毒が外に排出される時に、少量でも血管に入り、その毒が循環するためと考えられるのです(この意味がわかりますか?)。陰陽の原則からすると、陽性な毒は下半身にたまり、陰性な毒は上に上がるわけですから、生理の血は、塩気の強い陽性な毒を含んでいるのです。従って、日頃の食生活が悪い人は、生理の血も汚れているため、その毒がまわってくるので具合が悪いわけです(当然、生理痛もある)。

 

9.上記の彼女の場合は、日頃の食生活は正しくても、生理の時は、塩気の強い陽性な成分が吸収され、循環しますから、それを中和するために、普通の時よりたくさんの陰性な野菜、果物を必要としたのです。本人もなぜこんなに食欲が強いのか、気が引けながらも、たくさん食べていたのです。

  香日子さんと家内に、「表面に現れた症状で判断すると間違う。なぜそうなっているのかを考えないといけない」と話しながら、自分自身に対しても戒めました。

 
10.塩分と食欲について、無塩食セミナーを始めてからわかったことが、色々ありますが、昔の断食の頃の疑問が解けたことのお話です。

  沖正弘先生のヨガ道場で若い頃に3年間勉強(?)していたのですが、その時に1週間程度の水断食を数回やっていたのです。一般の受講生の中にも、断食をする人が少なからずいましたから、3年間で大勢の断食者を身近で見てきたわけです。その体験でズーと疑問に思っていたことがありました。それは、復食時になぜかパンが食べたくなるのです。45年程前ですから、パン食は今より少なかったと思います。日頃、パンをそんなに食べていない人でも、なぜか断食後、復食に入ってじきにパンが食べたくなるのです。

  実際に私は、復食3日目頃に食パンの耳(食パンの両端を切り落とした皮の部分)を夜8時頃1枚食べて、夜中にお腹が痛くなり、1時間位苦しんだ経験があるのです(当時のヨガ道場はヨガブームになる前で、貧乏ですから、安い耳パンを買って、弟子がおやつで食べていたのです)。

  復食時に「なぜかパンが食べたくなる」というのは、多くの断食者が言っていたことだったのです。それがどうしてか、頭の片隅に疑問としてズーとあったのです。無塩食を始めて、食品の中に含まれている塩分量の表などを見ていてわかりました。パンには塩分が多いのです。その塩分を要求しているのです。断食後は、とにかく梅干など塩気のあるものを要求してきます。香日子さんは、腰痛のコントロールのため、しょっちゅう無塩食料理を食べているのですが、彼女がよく言っているのです。「やっぱり塩気のあるものは美味しいな〜」。

 

11.無塩食といっても、果物などは糖分が多いし、食べたいだけ食べたら太るのではないか?と思うかもしれません。特に、減量希望の人は、食べすぎないよう注意する意識が働きます。しかし、果物をいくら食べても肥えることはありません。まず、美味しくないものを我慢して食べることは普通はありません。美味しく感じるものは、今必要なものなのです。血液中に溶け出してきた陽性な毒を中和するために必要な野菜、果物を美味しく感じます。

  甘い果物を美味しく思うのでもありません。甘いものを嫌いな人はたくさんいるのです。動物性の毒消しとしては、むしろ果物の中の酸味(リンゴ酸やクエン酸)を要求しているようです。とにかく、毒をドンドン中和して、代謝すれば体重が減るのです。私の印象としては、昔の水断食より減量速度が速いのです。

 
「無塩食と水断食の違い」
12.ここで、無塩食と水断食との比較をしておきます。無塩食は、一般的玄米菜食より、水断食に近い位置づけでとらえた方が分かりやすいと思います。

  ここでの無塩食は第七講でお話した1日〜2週間(長くても1カ月程度)の穀類や植物蛋白もとらない野菜、果物のみの完全無塩食と考えてください。

 

13.水断食は、昔は生水しか飲んでいませんでした。私はこの水断食を19歳の時に自宅で自分で23日実行しました(その体験記は、拙著「半断食」に書きましたが、絶版のためブログで連載を開始しました→こちらから)。この生水を断食指導者は、1日1升飲めとか、できれば2升飲めとか言っていたのです。一度にはたくさん飲めませんから、ちょっとずつ頻繁に飲むことを勧めていました。

  断食中にどの位の水を飲むべきかについて、「飲みたい時に、飲みたいだけ飲めば良い。必要な量は生命に聞きなさい」という考えが正しいと最近まで思っていたのです。しかし、これは間違っていたようです。第五講のレポートでお話したように、排毒による血液の濁り、粘りの時には、必要であっても喉の渇きが起きにくいのです。従って、水分が不足して、症状が悪化するのです。ですから、ゲルソン療法でも、昔の水断食でも、意識的に水分を取るように指導していたのです。つまりは、「必要な水分量を生命は教えてはくれなかった」のです。

 

14.20088月の第1回無塩食セミナーの際に、私自身も受講者の皆様と一緒に約48時間の無塩食を行なったのですが、その3日目頃に、横になって背伸びをした時、「アレー」と思ったのです。背中の凝りがスーと取れていくという感覚を覚えたのですが、それは昔何度かやった水断食の時に体験してきた感覚と同じだったのです。

  無塩食は、水断食と似たようなものだと感じたのですが、その後、だんだん整理してみると、現在の無塩食は昔の水断食の欠点を取り除き、かつ効果をより高めた排毒法だということがわかりました。

 

15.無塩食も水断食も、塩分を一切取らないという点では同じなのです。そして、無塩食で食べる野菜、果物は、固形状の水分なのです。つまりは生水の代わりにビタミン、ミネラル、糖分などが含まれている水分を食べているのです。

  水断食の場合は、固形物が一切入らないため、胃も腸も動きが少なくなり、胃液の分泌も止まってしまいますが、無塩食の場合は固形の野菜や果物で、胃も腸も動きますし分泌量がだんだん減っても胃液も出ています。無塩食でも水断食でも、体内に蓄積している毒がドンドン分解されて、出てきます。その結果、体重が減ってくるのですが、なぜそうなるかと言えば、塩分をとっていないからなのです。水断食は、無塩食の1つの形態とも考えられます。

  塩分を一切取らないので、不足している塩分を補うために体内の毒を分解する、その毒が血液の中に溶け出してくるという点も同じです。違いはここからです。水しか飲まない断食より、血液中の毒を中和するための野菜、果物、ジュースなどを的確にとっている無塩食の方が、毒素の処理がズーと速いのです。また、自覚的な反応が少なく、気分も良いため散歩でも体操でも普通にできます。運動によって、より代謝が促進します。

  しかし、水断食の場合は、血液の中にドーと溶け出してくる毒素の処理が遅いために、だるい、ねむい、寒い、気分が悪い、力が入らない、となり、結局ゴロゴロ寝ていることとなります(昔の水断食をゴロ寝断食と言います)。そうすると、ますます毒素の代謝が悪くなり、気分がよくなるまで、5日〜7日位かかってしまうのです。昔の断食の本には、断食中に激しい運動をしてはいけない、と書いてあります。しかし、ヨガ道場で沖先生は断食中もドンドン動けと指導していました。運動した方が気分も体調も良いのです。

 

16.水断食では、胃腸が全く動いていませんから、復食は充分に注意を要します。断食は簡単ですが復食を正しく進めることは大変難しいのです。一言で言って、復食で失敗しない人は、ほとんどいないと言ってもいいくらいです。何が失敗するかと言えば、過食になるのです。ちょっとでも量が多いと負担になって、むくんだりします。そのような水断食の復食時の難しさから見たら、無塩食の場合は、普通と同じように胃も腸も動いていて、胃液も出ているので、特別な復食期間というものは必要ないのです。

  ただし、塩分を摂りすぎると、翌朝むくんだりする点は無塩食も同じです。とにかく、排毒という効果においては、水断食より無塩食の方が効果があり、塩分を入れ始めた時の反応も少ないという点において、無塩食の方が優れていると思います。

 

17.水断食と無塩食の一番の違いは、精神的ストレスの違いです。お坊さんが修行として行なう水断食のことはわかりませんが、一般人の行なう水断食では、減食、断食、復食と、かなりの精神的、肉体的ストレスがあります。

  断食道場では、テレビの料理番組などを熱心に見て、「帰宅したら、あれを食べよう、これを食べよう」などと考えたり、話している人が多いのです。断食中に飲む水が、「とても美味しい」わけではありません。むしろ、我慢して、チビチビ飲むことさえあります。吐気があっても、「それは好転反応です、反応に感謝しなさい」などと、指導者は言っているのです。そして、苦しんだだけ効果があるなどと、錯覚しているわけです。この断食中のストレスも原因となって、帰宅後に暴飲暴食となることも少なくありません。断食で減った以上に、アーと言う間に太ってしまいます。

  その点では、無塩食の場合は、その実行中に、精神的ストレスはほとんどないと言ってよいのです。何しろ、我慢することは一つもないのです。塩分が入っていないと言っても、嫌なもの、美味しくないものを無理に食べるわけではありません。無塩であっても、美味しい料理、果物、ジュースが必ずあるのです。その美味しいものを、食べたいだけ食べ、飲みたいだけ飲んで良いというわけです。満足感も、満腹感も、十二分にあるのです。

 

18.昔の水断食では、大部分の人が復食時に食べすぎてしまいます。異常食欲がどうにも止まらないのです。ひどい場合は、餓鬼道に陥った感じです。この復食時の食欲をコントロールすることなど、不可能だと思っていました。しかし、無塩食を始めて、この問題もわかってきました。食欲のコントロールをするためには、塩分のコントロールをすれば良かったのです。

  断食中は全く食欲がありません。これは、塩分を一切とっていないからです。胃液の分泌も止まっています。復食の初期も、それ程、食欲が強いということはありません。少量の薄い重湯で満足できる感じです。だんだんと塩分がふえるに従って、食欲が増してくるのです。そして、復食1週間目位になると、もう止まらない、異常食欲となるわけです。

  昔の指導者や断食の本で聞いたことも、読んだこともないのですが、今思うと、これは塩分量の問題だったのです。復食時に食べる量は制限されても、塩分の注意は、聞いたことがないからです。「復食時に食べすぎたら、元の木阿弥にある」「長期の断食後に、道場の外で過食したら命にかかわることになる」など、指導者は、とにかく復食時に過食してはいけないというだけで、どうしてそうなるか、またはどうやったら過食を防げるかについては、何も言っていなかったのです。出てくる食欲を、意志の力でコントロールなどできないのです。しかし、塩分量を注意することは可能です。

 

19.さて、人類の歴史の99.9%は、飢餓の歴史であるとのことです。食べ物が手に入らない時はどうしたか、水を飲んでいたのです。つまりは水断食状態になったのが、飢餓の実態です。つまりは、水断食とは、人類にとって最初から宿命的なものであって、特別に健康法として工夫されたものではないということです。

  食べ物が手に入らない状態が3日間、7日間、10日間、20日間と続くと、どうなると思いますか?だんだん体力がなくなって、食べ物を手に入れるのが難しくなるのではないか、と思われるかもしれません。ところが違うのです。断食をやってみるとわかりますが、だるい、ねむい、気力も出ないのは最初の3日〜5日間だけなのです。断食7日目頃からは、体も気分も楽になり、10日過ぎには「どうしてこんなに軽いのか」という感じです。その時には、五官の働きも良くなっていて、眼はよく見える、遠くの音も聞こえる、臭覚も敏感になっているのです。そして、第六感もさえてきて、食べ物を手に入れる能力が普通より高まっているのです。そして、食べ物を得て、命を保ってきたわけです。

  飢餓状態の時に、心身が元気になる能力が高まるということを最近、科学者が色々言っていますが(サーチュイン遺伝子という長寿遺伝子が活性化される)、そんなことは昔からわかっていたことです。

 

20.頻繁に飢餓状態に襲われた昔の人類は、水だけ飲んで体に蓄積している栄養物を分解して、生命を保ってきたわけです。野菜も果物もないわけですから、私が勧めている無塩食などできるわけがありません。人類発生と同時に、否応なしに行われてきた水断食より、野菜や果物をたくさん食べる無塩食の方が、排毒速度が速いとか、心身のストレスもなく効果があるとかの比較自体が本来おかしなことなのです。

  ゲルソン療法にしても、無塩食にしても、飢餓など全くなくなり、長年の過食、邪食で病的な現代人にとって、必要となってきただけなのです。動物性食品(肉類など)を食べるということは、その何倍もの穀物を食べていることになります。それを大食しているということは、他の人々の食べ物を奪っているとの考え方があります(地球上では、多くの人が飢餓状態にある)。その罪を清算するためには、本当は水だけ飲んで労働するのが正しいのかもしれません。手間とお金をかけて、多量の野菜や果物を食べるとか、ゲルソン療法の1日13杯の野菜ジュースを飲むなど、飢餓の人から見たらとんでもないことかもしれません。

 

 

                                                 以下、次号につづく

  

                            

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