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無塩食講座第10講 


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無塩食講座 第10講 201244日アップ

「今後の予定」

1.これまでのレポート(第一講〜九講まで)で、私が提言している無塩食について、その基礎的原理から実践における注意事項まで、概略はお話したかと思います。これからのレポートは、再度、重要事項などの補足的解説になるかと思います。予定している今後のレポートのテーマは、以下のように考えています。

 

2.今後の予定テーマ(掲載順というわけではありません)。

@ゲルソン療法及び星野式ゲルソン療法について、無塩食との違い

A反応および注意事項についての追加説明

B世界のマクロ関係者への提言(マクロビ食についての再検討)

C特別レポート

 田村式計画産児法の紹介(女性の排卵に関して40年間で数万人の実施調査の結果から)

D特別レポート(実現するかどうか未定)

 塩沼亮潤和尚さん(千日回峰行、100日間塩断ち行)との対談レポート

E無塩食のまとめ

 

3.以上のレポートが終了するのがいつ頃になるか、まだわかりませんが、6〜8月頃と考えています。

  無塩食講座全般について、疑問、質問があれば、掲示板に投稿してください(無塩食に関する一般的な質問にはお答えしますが、個人的な健康相談は受けつけておりませんので、ご承知ください)。

「ゲルソン療法とは」 

4.さて、第六講でゲルソン療法について少し書いていますが、再度、ゲルソン療法とは何か、無塩食との違いについて、整理してみたいと思いますまず、ゲルソン療法とはどんな食事療法なのかを、星野仁彦先生の「ガンと闘う医師のゲルソン療法」(マキノ出版)から転載させていただき、私見を加えていきたいと思います(転載部分は青字で示します)。

 

ガンの治療食とその作り方(この部分は、マックス・ゲルソン著「ガンの食事療法全書」今村光一訳、徳間書店刊からの引用部分です。76頁〜80頁から引用)。

  この治療食は、普通の食事とは完全に違うものである。

果物、葉菜類、根菜類などの絞り立てのジュース、自然な形あるいは細かく砕いた形で食べる大量のなまの果物と野菜、新鮮な野菜、果物のサラダ、野菜自身の水分だけで水を加えずに煮た野菜のシチューやつけ合わせのコンポート、シチューにした野菜やじゃがいも、オートミール、それにヒポクラテス・スープ(國清注:ヒポクラテスが考案した野菜スープ。材料はセロリ、トマト、タマネギ、ジャガイモ、ニンニクなどのを2時間火にかけ、フードミルサーなどを利用して細かく砕いて作った濃厚でクリーミーなスープ)、塩抜きのライ麦パン―

私の治療食で食べるのはこういったものに限られる。治療開始後、6〜12週間すると、ポットチーズ(國清注:カテージチーズに同じ)、スキム・ミルクで作ったヨーグルトという形で動物性蛋白質も加えるようにする。

この食事が治療のベースで、この治療食は体の組織からナトリウムを可能な限り追い出し、代わってカリウムが可能な限り多く組織に行きわたるようにするという原理に基づいている。

通常の食事より容易かつ早く消化されるのがこの食事である。この食事は、代謝の負担を可能な限り軽くし、代謝の中で出される異常な代謝の中間物質と、同時に有害物質の排出を促進する。カロリーは少なく、速く消化されるので、大量でかつ頻繁な食事をとる必要がある。患者は、できるだけ大量に飲みかつ食べるべきで、夜食を余分にほしくなる患者もいる。

 〈禁ずべきもの〉

 タバコ、塩、強いスパイス(なままたは乾燥した薬草は許される)、お茶コーヒー、ココア、チョコレート、アルコール、白砂糖、白い小麦粉、キャンディ、アイスクリーム、菓子、ナッツ類、茸、大豆及び大豆製品、漬け物、きゅうり、パイナップル、全ての水分の多い液果類(但しアカフサスグリは除く)(國清注:液果類とはイチゴ、ブドウなど果肉が多汁で柔らかい果物のこと)、飲み水(水の代わりにジュースを飲むのに充てるため)、アボガド(國清注:なお、キュウリ、パイナップル、アボガド及びイチゴ、ブドウなどの液果類を禁じている理由についてはわかりません)

  缶詰や保存食品、硫黄で漂白したえんどう豆、レンズ豆、その他豆類、冷凍食品、くん製や塩漬けの野菜、乾燥または粉にした食品、びん詰のジュース。

全ての油脂類、塩の同類品(特に重炭酸ナトリウム、これは食品、歯磨きうがい薬の中に含まれているものを問わない)、毛染めの薬(中略)

〈一時的に(特に最初の数ヵ月)禁ずべきもの〉

 ミルク、チーズ、バター、魚、肉、卵。

(中略)

〈必要な食物に関するガイド〉

  果物(缶詰は使用しない)、リンゴ、ブドウ糖、桜んぼ類、マンゴー、桃類、オレンジ類、アンズ類、グレープ・フルーツ、バナナ、タンジェリン類(國清注:かんきつ類のこと)、西洋梨類、スモモ類、メロン類、パパイヤ類、柿類など。

  梨やスモモ類はシチューにすると、より消化されやすい。シチューにした果物も、使って構わない。乾燥した果物、たとえばアンズ、桃、ブドウプルーン類などやいくつかの果物を一緒に混ぜたものも、硫黄で漂白されていないものは使っても問題はない―これらは洗って水にひたし、シチューにすることができる。

〈ジュースについて〉

  必ず絞り立てのものを飲むこと(一日分のジュースを、朝全部つくることはできない)。

  飲む量は少量から始め、次第に増やしていく。

〈野菜の調理〉

 すべての野菜は水を加えずに、弱い火でゆっくり調理することが、野菜の自然な香りを保ち、消化吸収をよくするために非常に大切である。強すぎる火で調理すると野菜の細胞がこわれ、ミネラル分がもとのコロイド状態の中から外に流出して、体に吸収されにくいものになってしまう。

〈中略〉

  なまの野菜や果物を砕いたり刻む場合には、できるだけすぐに食べること。なまでまだ生きている組織はどんな調理をした場合も、生きた状態で保存はできないからだ。ジュースに関しても同じである。調理した食品(スープや果物)は、冷蔵庫で四八時間保存してもいい。

〈とくに必要なこと〉

  果物と野菜のジュース、新鮮な仔牛の肝臓のジュース、なまの食品はとくに大切である。少なくとも医者が指示する量は食べ、かつ飲まなければいけない。好転反応の出た時にはそれだけの量をとると強い反応を起こすこともあるが、それでもそうする必要がある。

  またこの期間には、患者自身がなまで調理しない食べもの、リンゴ・ジュース、なまで皮をむき細かくすりおろしたリンゴや、細かくつぶしたバナナなどを、もっとほしがるものである。そしてつぶしたリンゴやバナナは、フォークでピューレにして食べることもできる。患者の敏感さ、あるいは腸の過敏さのことを考えると、なまのジュースは、薄くこしたオートミールに混ぜて、飲ますようにしなければいけない。患者の好転反応がひどい場合は、果物のジュースと薄めたオートミールは大さじ二杯だけ入れればいい。

  なまですりおろしたリンゴは、大量にとること。なまでとる場合には、消化の負担を軽くし、ガスの出るのを少なくするために、リンゴの皮をむくとよい。リンゴはなまで細かくすりおろしたもの、焼きリンゴ、リンゴ・ソース、干しブドウを入れたコンポートなど、あらゆる形でとるべきである。

  人参もなまでとり、最もいいのは同量のすりおろしたリンゴと一緒に、すりおろして食べるものである。この他、調理したり、軽く焼いて、蜂蜜やパンの耳を刻んだものをまぶすのもよい。

  イモ類は焼く。つまり皮つきのままオーブンに入れて柔らかくなるまで焼く。そしてすりつぶしたり、サラダにしてもよい。セロリを混ぜたサラダに、ビネガーかレモン汁をかけたりする。(ここまで、マックス・ゲルソン著「ガンの食事療法全書」からの引用部分)

 

星野式ゲルソン療法とは(星野仁彦著「ガンと闘う医師のゲルソン療法」(マキノ出版)81頁〜83頁から引用)

 @私はゲルソン療法を実践して、転移性の肝臓ガンを克服しましたが、私が行ったのは厳密なゲルソン療法ではありません。私は医聖会の講習会で講師として指導させていただいていますが、私の行なった方法を「星野式ゲルソン療法」と申し上げています。実は、ゲルソン療法を名乗るのは僭越で、ゲルソン博士に申し訳ない気持ちもあります。 

  名称のことはともかく、私が行い、またガンの患者さんたちに指導している方法は、ゲルソン療法の簡略版なのです。いくつかの原理原則は守っていますが、厳密に原法どおりではありません。なぜ、私が原法通りの方法を行なわなかったかというと、厳格すぎて現実に実行するのが困難だと思ったからです。

  ゲルソン療法の原法では、野菜ジュースは一回200〜300ccを1日13回飲まないといけないですし、コーヒー浣腸も1日2〜3回以上やらないといけません。野菜ジュースを1日13回飲むというと、ほとんど1日じゅう、野菜ジュースを作っていることになります。量は約2000〜3000ccです。

  ゲルソン療法の原法を厳密に行うには、ゲルソン病院へ入院しないとできません。また、生活の心配もなく、家族を養う立場になく、誰か食事を作ってくれる人がいれば自宅でも実行できるでしょう。私には妻と二人の子供、計三人の扶養家族がありました。大学病院の給料は、世間の人が想像するほど多くはありません。一年間、いや半年間でも休職して治療に専念する経済的余裕も貯えも、私にはありませんでした。生命と暮らしのどちらが大切なのかと問われても、現実は仕事をしながら治さなければならなかったのです。そして、そのためにできるやり方を、私なりに模索しました。

  簡略版といっても、ゲルソン療法のいくつかの原則はきっちり守りました。塩分や動物性蛋白、脂肪などの摂取は制限し、野菜ジュースも1日1200〜1500cc飲みました。その代り、ゲルソン療法の原法にはない方法もいくつか行いました。これには、ゲルソン療法の省略した部分を補う意味もありました。

  それらの方法は、一つは、ビタミン類の大量摂取です。これはコントレラス病院の栄養療法で行っています。ビタミンC、ビタミンB類のサプリメント(栄養補助食品)を服用しました。また、リトリール(アミグダリン)の注射も行いました。

  免疫療法として、スギナ、ヨモギなどの薬草茶の飲用と尿療法も行いました。薬草には、免疫力を上げたり、抗ガン作用のあるものがたくさんあります。薬草茶は、OTA(アメリカ議会技術評価局)のレポートによると、いくつかのガン治療で用いられています。また、ブリストル病院でも肝臓の働きを高める目的で、ハーブ茶を飲みます。

  尿療法は、後述のようにガンに素晴らしい効果があることを知っていましたので、ぜひ実行しないといけないと思いました。

  以上のように、私が行ったのは、二つの理由で厳格なゲルソン療法ではありません。つまり、一つは、ゲルソン療法のある部分を省略し、もう一つは、ほかの方法を併用したからです。

 A星野式ゲルソン療法の五つの基本(85頁〜88頁)

 1.無塩食

 2.油脂類と動物性蛋白質の制限

 3.大量かつ多種類の野菜ジュース

4.アルコール、カフェイン、タバコ、精製された砂糖、人工的食品添加物(着色料、保存料)などの禁止

5.イモ類、未精白の穀類(玄米、胚芽米、全粒粉)などの炭水化物、豆類、新鮮な野菜や果物(国産)、堅果類(クルミ、ナッツ、アーモンドなど)、海藻類を中心とした食事

 

これら五つの原則は、基本的にはゲルソン療法の食事療法の基本と合致していると思います。

ただし、細かい点では違いはあります。というのは、この章の最初の項で紹介しましたが、本来のゲルソン療法では、禁ずべきものとして豆類があげられています。私の場合、豆類、特にダイズやダイズの加工食品(納豆、豆腐など)は積極的に摂るようにしました。というのは、動物性の蛋白源の摂取を禁じた場合、豆類(特にダイズ)は貴重な蛋白源です。また、動物性食品(肉)はそれだけで必須アミノ酸が全部摂取できますが、植物性の食品では一つの食品で全部の必須アミノ酸を摂取することはできません。ところが未精白の穀類とダイズを併用すると、必須アミノ酸がほぼ全部補えるのです。

しかも、ガン患者にとって豆類がマイナスに作用するとは考えられません正直なところ、ゲルソン博士がなぜ豆類を禁じているのか、その理由が私にはわからないのです。ゲルソン療法を専門に指導している医師に聞いても、その正確な理由は不明です。

ダイズに含まれるアルギニンというアミノ酸には、後述のように抗ガン作用があります。体にさまざまなよい作用をします。そこで、私は自分で判断し、豆類、特にダイズやダイズ製品を積極的に摂取することにしました。

また、野菜ジュースや、一日の服用量は本来の方法に比べて少なく、1回400ccを1日3〜5回飲みました。

このように、自分なりにアレンジしたこともあって、次にあげる方法を併用しました。

・ビタミンCの大量摂取(1日20003000ミリグラム)

・ビタミンB類の摂取(1日20003000ミリグラム)

・リトノ―ル(アミグダリン)の注射と錠剤の服用

・薬草茶の飲用(スギナ、ヨモギ、ドクダミなど)

・尿療法

・その他(玄米黒酢、黒ゴマ、亜麻仁油)など)

 これらのうち、薬草茶、亜麻仁油は、ゲルソン療法本来の方法に含まれま す。

 

1 星野式ゲルソン療法の5つの基本

1.無塩食

 @塩、しょうゆ、ソース、みそなどの塩分(NaCl)を含有するものを極力省く。

  A少量の減塩しょうゆまたは無塩しょうゆ(Kcl)、レモン、酢、ビネガー、ニンニク、ハーブ、ハチミツ、黒砂糖などで工夫した味つけをする。

 B特に初めての数ヵ月〜2年間はこれを徹底する。

 

2.油脂類と動物性蛋白質の制限

  @初めは全ての油脂類(動物性、植物性の油)、肉類、魚介類、乳製品、卵などすべての動物性蛋白質を抜く。

  A蛋白質はできるだけ植物性蛋白質、すなわち、ダイズ蛋白(納豆、豆腐、凍み豆腐、湯葉、豆乳、プロテイン)または小麦蛋白(グルテン、おふ)などから摂取する。

  Bパンは国産小麦、できれば全粒粉を使用する(市販のパンは食べない)。

  C数ヵ月たてば白身の魚、小魚(シラス、チリメンなど)鰹節などを食べ始めてもよい。

 

 3.大量かつ多種類の野菜ジュース

  @ニンジン、ジャガイモ、国産レモン、リンゴ、カブ、ダイコン、季節の青菜などの野菜ジュースを1400cc13回以上飲む。

  A以上の野菜はできるかぎり、自然農法(無農薬、有機栽培)で作られたものを使う。

  B野菜はできる限り新鮮なものを生のまま食べる。

 

 4.アルコール、カフェイン、タバコ、精製された砂糖、人工的食品添加物(着色料、保存料)などの禁止

 

 5.イモ類、未精白の穀類(玄米、胚芽米、全粒粉)などの炭水化物、豆類、新鮮な野菜や果物(国産)、堅実類(クルミ、ナッツ、アーモンドなど)、海藻類を中心とした食事。

 

         以上、「ガンと闘う医師のゲルソン療法から」の引用

 

5.上記の星野先生の本からの抜粋文章について、國清の考えをお話します要点としては、

@ ゲルソン博士はガン患者に豆類を禁じているが、星野先生はその理由が分からない。また、ゲルソン療法を専門に指導している医師に聞いても、その理由は不明である。

A 星野先生の判断では、ガンに対してマイナスに作用するとは考えられない。従って、星野式では豆類、特に大豆や大豆製品を積極的に摂取している。


「豆類、ナッツ類を禁じた理由」 

    國清は、ゲルソン博士の本「ガン食事療法全書」(今村光一訳、徳間書店)をまだよく読んでいないのです。そんなわけで、ゲルソン博士が豆類を禁じている理由について、その本の中に全く書かれていないのかどうかを確認していません。少なくとも、星野先生やその他のゲルソン療法の専門医が、理由がわからないと言っているのであれば、ゲルソン博士は豆類を禁じている理由を明確に本に書いていないわけです。しかし、もしかしたら、はっきりとは書いていなくとも、その理由につながるような表現が、何かあるのではないかと思われるので、ゲルソン博士の本を熟読して、確認してみたいと思っているのです。

     もし、ゲルソン博士自身が理由は不明だが、豆類をとらない方がよいと考えたとしたら、それは実際の臨床体験から判断したと思われます。数多くのガン患者の指導体験から、豆類をとらない方が治療成績がよいとの判断があり、理由は不明ですが、禁じたということでなくてはおかしいのです。現代医学の常識からかけ離れた異端の治療法を追及したゲルソン博士が、頭で納得できる理屈と、実際の臨床成績と、どちらを優先したかと言えば、当然ながら、現実の結果を重んじたはずなのです。従って、本の中に、豆類を禁じた理由が全く書かれていないとすれば、臨床成績から判断して禁じたということ以外にあり得ないと思われるのです。

 

    さて、この問題は、陰陽の法則に照らして考えたら簡単です。蛋白質は陰性で組織を膨らませる性質があります(むくませるのは陰性、ちぢめるのは陽性)。ガンという病気は、ガン腫がドンドン大きく膨らんでくる病気ですから、蛋白質を食べると、ガン腫の拡大を促進することとなります。従って、ゲルソン博士が豆類を禁じた処方は正しいと考えます。

    蛇足的な説明を少ししますが、最近の若い女性が昔と比較して、バストが大きくなってきているのです。具体的に言えば、60年位前の女性のバストのサイズから見たら、最近はかなり大きくなっていますが、これは肉食が増えたからなのです。

     ボディビルなどの選手で、筋肉モリモリにするには、動物性でも植物性でも蛋白質が必要です(プロテインを飲んだりしている)。昔の日本人は、肉食は少なく、穀物と野菜と魚介類です。魚の蛋白質は、胸ではなく、腰やお尻が大きくなるのです。欧米の女性で肉食の多い人は、腰が華奢で胸がとても大きくなるのです。肉や魚は、蛋白質でも塩分を含んでいます。つまり、組織を縮める塩分を含んでいても、蛋白質で膨らんでいくわけです。

それからみて、大豆たんぱくは塩分がないですから、それだけ陰性が強く、組織を緩めて膨らませることになります(小麦蛋白より大豆蛋白の方が陰性)。

  星野先生は、この豆類の問題を、ゲルソン療法と星野式との「細かい点での違い」としていますが、國清の見解では、大きな違いであり、「理由がわからないのに、ゲルソン博士が禁じた食品を積極的に勧めている」ということは、少し疑問です。

  また、ゲルソン博士は、ナッツ類を禁止していますが、星野先生は勧めています。この点についても、國清の見解としては、ナッツ類はプラスよりマイナス面が大きく、ゲルソン博士の考えに賛同します。『ウイルスは恐くない』の中で「Bさんの話」や、ヨーロッパマクロの欠点として書いていますのでご一読ください。ゴマやナッツの過食で、腎臓や泌尿器、生殖器の異常を起こしている人は、マクロビ食の人に多いと思います。

 

「ゲルソン療法と無塩食との違い」
6.星野式ゲルソン療法では「数ヵ月たてば白身の魚、小魚(シラス、チリメンなど)鰹節などを食べ始めてもよい」となっています。ゲルソン博士も、動物性を一切禁止していなかったようです。

  大森先生の純正穀菜食が本来の正しい食生活という立場からみると、動物性は一切必要ないと考えます。それよりも、無塩という観点から見たら少量でも動物性をとれば、無塩ではなくなるということになります。ゲルソン療法が少量でも動物性食品を許可しているならば、これは減塩食であって、國清の考える無塩食とは違います(数年間に渡って続けるゲルソン食と、短期間の無塩食との違いもありますが、要は動物性食品に対しての考え方です)。

星野式では海藻類を勧めていますが、國清の無塩食では海藻類は塩分を含んでいますから使っていません。しかし、普通食に戻した時には海藻は少量取っても問題ありません。

 

7.星野仁彦著「ガンと闘う医師のゲルソン療法」マキノ出版 88頁〜90頁から

  塩抜き食事と味つけの工夫@塩分がガンの発生にかなり重大な役割を果たしているというのは、ゲルソン療法特有の考え方です。

  細胞の水分代謝は、ナトリウムとカリウムの一定のバランスに立って、円滑に行われています。それが、ナトリウム摂取過剰でバランスが崩れると、細胞は一種の浮腫状態になります。ゲルソン博士は、ガン細胞はナトリウム過剰の浮腫状態にある、といっています。ゲルソン療法では、大量の野菜ジュースを摂取しますが、これには野菜からカリウムを補給してナトリウムとのバランスを正常に戻す狙いもあります。

A塩分制限(できれば無塩)はゲルソン療法の重大なポイントです。最低2〜3年は厳密に守っていただきたいと思います。

 ゲルソン博士によれば、塩分はそもそも人間の体に必要不可欠のものではなく、塩分の摂りすぎはガンを増殖させる元凶になります。

 後述のように、1870年代に中央アフリカに白人が到来して、この地区にヨーロッパの塩が大量に持ち込まれるまではガンはほとんど見られませんでしたが、それ以降現在にいたるまで都市部を中心にガンがふえ続けているようです。

 ゲルソン博士の著書によれば、食品中に自然に含まれている塩分のみに制限した食事を長期間続けても、患者の胃酸のph値は正常であり、断塩のために食欲が落ちることもありませんでした。また、断塩食を始めるとすぐに体の発汗が抑制されて、体の中のナトリウムが必要以上に奪われないように、ホメオスターシス(恒常性)を維持するメカニズムが人間にあることもわかりました。

Bただ私の臨床経験では、日本人の中には、極端な塩分制限をすると、全身倦怠感や吐き気、不整脈を訴える方が一部いらっしゃいます。この場合、血中のナトリウムとカリウム濃度をチェックしながら、少量の減塩しょうゆを摂ることをお勧めしています。また、後述のような尿療法を併用すると、この全身倦怠感や不整脈は数日中に改善するようです。

          以上、「ガンと闘う医師のゲルソン療法から」の引用

 

8.上記の文中についての國清の見解です。

 「断塩食を始めると体の発汗が抑制される」とありますが、國清は過去に次のよう体験があるのです。40年以上前に、沖先生のヨガ道場にいた頃のことです。水断食8日目頃にサウナに入りにいきました。一般的には、断食中の温浴を禁止していたのですから、サウナに入るなど普通はやりません。私は時々、サウナに入っていて、長い時に5、6回、10分位ずつ入っていたのです。そして、大量の汗をかいてすっきりしていました。その習慣から、断食8日目でしたが、いつものようにサウナに入ったのですが、5分たっても汗が出てきません。10分たっても全く汗が出ないのです(普通は数分で汗が噴き出してくるのです)。結局、30分くらいジーとしていても、全く汗をかかず、肌がサラサラのままでした。さらに昔のサウナ風呂は段々の一番上の温度が120度位になっていましたが、全く暑さを感じなかったのです。

  30年前に少食半断食の指導を始めた頃も、少食にしていると夏の炎天下を歩いても汗が出ないことを実感していました。逆に、過食、大食している時は、汗をかきやすいのです。ちなみに、事務局の澤井香日子さんは風呂好き、サウナ好きですが、現在、減塩生活にもかかわらず、サウナに入って大量の汗が出るそうです。まだまだ昔の塩分が蓄積しているのかもしれません。

 

9.次に、「日本人の中には極端な塩分制限をすると、全身倦怠感や吐き気不整脈を訴える方が一部いらっしゃいます」とありますが、この全身倦怠感、吐き気、不整脈が、塩分不足によって起こるのかどうかです。今までのレポートで何度か説明してきましたが、これは排毒によって、血液が粘って、循環が悪くなって出てくる症状と考えています。ですから、血行を促進するためには、血液中の毒を中和して血液がきれいになればよいのですが、塩分を入れてもある程度循環が良くなりますから、症状は改善されるのです(第七講に書いているように、國清も最初は、倦怠感や吐き気は陰性な反応で、塩分不足からくると思いこんでいたのです)。

  星野先生の表現では、「日本人の中には」とありますが、無塩にした時に日本人が特別にこのような症状になるわけではないと思います。実際に私はこの3年間の間にオランダで無塩食セミナーを3回経験していますがヨーロッパのマクロの人々も、一般的な反応は日本人と同じです。また、以前の少食、半断食20年間の体験においても、ヨーロッパ人と日本人との反応の違いというものは特に感じられません。

  ゲルソン博士の場合は、このような反応を未然に防いでいると思います1日13回に渡って大量の野菜ジュースを飲んでいるのは排毒による血液の粘り、血行不順を予防しているのです。つまり、星野先生が経験した日本人にそのような症状を訴える人がいたのは、排毒を中和するための水分(野菜ジュース)の摂取量が少なかったと思われます。なんといっても、喉が渇かないため、意識的に摂らない限り、不足がちになってしまうのです。

  また、星野先生はこのような場合に尿療法を勧めていますが、尿の中には当然ながら塩分が含まれています。無塩食をゲルソン療法の要といいながら、塩分を含んだ尿を飲むのというのは、どうも一貫しないように思います(尿療法については、よくわかりません)。

 

10.星野仁彦著「ガンと闘う医師のゲルソン療法」マキノ出版116頁〜119

ゲルソン療法におけるその他の併用療法

@コーヒー浣腸

  ゲルソン療法の中の特徴的な方法の一つが、コーヒー浣腸です。とろ火で煮詰めたコーヒーを使って、イチジク浣腸と同じようなやり方で行います。

  ゲルソン療法でコーヒー浣腸を行なうようになったのは、肝臓の解毒を促進させるためです。というのは、ガン細胞が死滅するとき、ガン細胞から大量の有害物質や老廃物が出ます。それらを解毒するため、肝臓は大きな負担を強いられます。その問題を解決するため、ゲルソン博士はコーヒー浣腸を用いることにしました。胆汁(脂肪を消化して、吸収されやすい形に変える消化液)の分泌を促し、解毒を促進させると考えたのです。コーヒー浣腸を一日四〜五回行うと、胆汁の分泌促進に非常に有効と、ゲルソン博士は著書で述べています。

 

A甲状腺ホルモン剤(ヨード剤)

 ゲルソン療法では、患者さんによっては甲状腺ホルモン剤としてヨード剤を用いることがあります。ヨードは海藻に含まれる成分です。ゲルソン博士によると、ガン患者は甲状腺機能が低下し、そのため免疫力が下がっている人が多いといいます。ヨード剤を補給することで、甲状腺機能を高め、二次的に免疫力を上げようという狙いです。

 我が国でも、ヨード剤を使ってガン治療を行なMMKヨード療法があります。

 私はこのホルモン剤は服用しなかったですし、必ず使わなければならないということもないと思います。免疫力を上げるのは他の方法でじゅうぶんだからです。

 

B肝臓酵素製剤

 ゲルソン療法では、肝臓の機能を向上させるために仔牛の生レバージュースを使います。これは非常に重要なことですが、ゲルソン博士の考え方では、ガン患者は多かれ少なかれ、肝機能が低下しているというのです。あるいは、ほとんどのケースで、肝臓の機能が低下するためにガンが発生するとさえいっています。

 ゲルソン博士は、ガンは栄養障害、代謝障害によってもたらされる病気と定義しました。肝臓は栄養や老廃物の代謝に深く関係しています。だから肝臓の機能が低下することからガンが発生するとゲルソン博士は考えました。そして、肝機能を向上させる方法として、仔牛の生レバージュースを勧めています。

 しかし、この方法はメキシコのゲルソン病院では可能ですが、日本では仔牛の生のれば―は使えません。餌に抗生物質を使っており、PCB、BHCなどの化学物質汚染がひどいからです。仔牛の生レバージュースも肝臓酵素剤も使いませんでした。肝機能の低下があっても、野菜ジュースやゲルソン療法の食事で改善することができると思います。

 

Cカリウム剤

 ガン細胞は、ナトリウムとカリウムのミネラルバランスが崩れ、ナトリウム過剰で、本来細胞外にあるべきナトリウム画細胞内に入って、細胞内はカリウム不足になっています。だから、ガンの治療にはナトリウムの摂取をへらし、一方、カリウムをたくさん摂る必要があると、ゲルソン博士は考えました。

 ゲルソン療法では、野菜ジュースからカリウムはじゅうぶん補給できます。カリウム剤として摂取しなくてよいと思います。私の場合も服用しませんでした。

 

D亜麻仁油

 発ガンの原因にならない唯一の油がオメガ3系列の脂肪酸で、亜麻仁油、エゴマ油、シソ油に含まれるアルファリノレン酸や魚油に含まれるEPAがあります。ただし、これ等も過熱すると発ガンの原因になります。そこで、ゲルソン療法では、生の亜麻仁油を115cc摂取することを勧めています。私の場合、入手できるようになってからは使用しています。

 

11.好転反応について(星野仁彦著「ガンと闘う医師のゲルソン療法」マキノ出版124頁から引用)

 ゲルソンン療法を行ううえで知っておいてほしいことに、体重減少と好転反応(病気が治る前に一時的に症状が悪化すること)があります。

 ゲルソン療法を始めると、最初の数ヵ月で体重が何キロ化現象します。私の場合も、最初の半年間で約八キロへりました。しかし、ある程度へるとプラトー(平坦)状態になり、それ以上はへりません。なぜ体重が減少するかというと、理由は二つ考えられます。一つは植物性中心の食事のため、摂取カロリーの量がへるからです。もう一つの理由としては、体の様々な代謝が塩分、脂肪制限のため正常化されるためでしょう。

 いずれにせよ、一般的に、ゲルソン療法による体重減少は心配ありません。

 好転反応は、人によって起こる場合と起こらない場合があります。症状も人によって異なり、重症度も違いますが、主なものとして全身倦怠感や吐き気、頭痛などがあります(私がこれまでゲルソン療法を勧めた患者さんの中にも一部、このような好転反応を起こす方がいます。しかしこの場合、後述の尿療法を併用すると全員数日間で改善するようです)。

 これ等の好転反応は、異常になっていた体の様々な代謝がゲルソン療法によって正常になることでも起こりますが、主な原因は無塩食にあると考えられます。調味料として食塩を使わないからといって、塩を全く摂らないということにはなりません。穀類、イモ類、野菜などの植物にも、ごく少量ですがナトリウムは含まれているからです。

 たいていの人は無塩食にしても、こう言った症状は現れないですし、現われても軽いものです。けれど、中には食欲が著しく低下し、全身の激しい倦怠感を訴える人がいます。これは、ナトリウム欠乏症です。

 食欲が低下したままでは、体は衰弱していき、よくありません。こういうときは、できれば血中のナトリウムとカリウム濃度をチェックしながら、自然塩や減塩しょうゆなどを使って少量の塩分を補給します。ナトリウムを割合多く含む海藻を食べるのもよいでしょう。体力が回復したら、また元の無塩食に戻します。続けていれば体が慣れてきますので、やがてこういった症状はおこらなくなってきます。

          以上、「ガンと闘う医師のゲルソン療法から」の引用

 

12.好転反応については、今までのレポートですでに國清の見解を書いているので、ここでは繰り返しません。

  症状を悪ととらえるのが、現代医学の基本的発想です。現代医学に対して、自然医学、東洋医学という観点で見るならば、症状は悪ではない、むしろ善としてとらえるべきである。なぜなら、その症状を起こしているのは生命の働きであり、自然治癒力だからです。問題は、なぜそのような症状が起きているのか、その意味、内容、症状の目的を正しく把握することが必要なのです。病気が悪、症状が悪ととらえているかぎり、対症療法的自然療法の域を脱することが難しいと思われます。

 

                                                 以下、次号につづく


                            

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