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無塩食講座第28講 


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無塩食講座 第28講 2012815日アップ

1.今回も、無塩食講座第5講から7講までのレポートから要点を抜粋しました。

 

【第5講から】

20088月の第一回目の無塩食セミナー初日の夕食時に、梅干しのタネを2個、 全員に配りました。そして、「もし、入浴後とかに、立ちくらみがしたらすぐに梅干しの種をしゃぶってください。そうすれば、すぐに治ります。また、何となく気分が悪い、動悸がするなどの時も、美味しければしゃぶってください。

 

昔の水断食の時も、断食初期の反応として、血圧が下がって、立ちくらみを起こすことがよくありました。これは、その後、穀菜食の少食半断食でも同じでした。特に、入浴した時などに立ちくらみを起こすことが多かったのです。

   このような時は、暖かく塩気のある飲み物(梅生番茶、醤油番茶、味噌汁など)を飲むと、すぐに治りますし、それらの飲み物が美味しく感じるのです。

 

血圧が下がって、立ちくらみを起こした時は陽性な梅生番茶が美味しいですから、この症状は陰性な反応だと考えていました。無塩食をすると、それまでの半断食の時よりも、立ちくらみが出やすくなるのではと思っていたのです。

 

何回かのセミナーを体験するうちに、立ちくらみの症状がチョコチョコ出るのに、塩気のものはほしくない。ジュースの方がいいという人がいるのです。そして、ジュースを飲んだら、立ちくらみも治り、気分も良くなっているのです。人によっては、温めたリンゴジュースなどが美味しいのです。

  「その時、その人に必要な物は美味しく感じる」というのが、私の過去の体験から得た基本的な原則ですから、何か反応が出た人に対して、先ず「何か飲みたいものはないですか?」または「何が飲みたいかわからない」という場合は、具体的な飲み物をあげて、これはどうか、あれはどうかと聞いてみます。そうすると、「いや~そんなものは飲みたくないです」とか「美味しそうにない」とか、何か返答が返ってきます。

 

ある時、何となく気分が悪い女性に「温めたリンゴジュースを飲んでみたら?」と勧めました。「どんな感じがするか?」と聞いたところ、「美味しそうには思えない」というような返答でした。「味見して美味しくなかったら、無理に飲まなくていいから、とにかく試してみて」その後、「どうだった?」と聞いたら「すごく美味しかった。気分もよくなりました」とのことだったのです。

彼女は今まで、冷たいリンゴジュースしか飲んだことがないのです。普通の時なら、健康な若い女性が温めたリンゴジュースの方が美味しいことは少ないと思います(老人で、身体が硬化している場合は温かい飲み物の方が緩めるので好む)。

  

このような過去30年間の半断食指導体験の中ではなかったことが、無塩食セミナーの中で起こってきたのです。すなわち、

 ①炭酸水を用意し、それを美味しく感じる人が多い。

 ②立ちくらみの時に、梅生番茶よりも、温かいリンゴジュースの方が美味 しい。

 ③体重の減り方のスピードが、昔の水断食より早い。

 ④突然、強い反応が出るような気がする。また、対応が正しければすぐに 治る。

以上のようなことを体験していましたが、それが何なのか、最初のうちはわかりませんでした。無塩食は効果があるけれども、対応を間違うと危険だということを感じていたのですが、何がどう違うのか、まだわかっていませんでした。

 

無塩食とは何かの理解を深める上で、色々な皆さんの体験から学んできたのですが、その一人である三島事務局の澤井香日子さんのお話をしたいと思います。彼女の腰痛は、無塩食実施における大変重要なポイントを示唆してくれたのです。

 

5年前のことですから、まだ無塩食セミナーを開始していない時期です。三島でのセミナーは45日で、穀菜食の少食半断食セミナーをやっていました。セミナー中に希望者を夜、近くの温泉にお連れしています。澤井香日子さんは風呂好き、サウナ好きで、 毎日、セミナー参加者と共に、温泉に行って時間のある限り、サウナに入っていました。

 その日もかなり腰痛がひどかったようで腰をかがめて歩いていました。ところが、温泉から帰る時に、彼女の腰痛が来た時よりも悪化している様子だったのです。「香日子さん、サウナに入る前より腰が曲がって痛そうに見えるけど?」。彼女は私の問いに、チョッと考えて「そうかもしれない。さっきより痛いわ」というのです。サウナに入るとすっきりする、疲れが取れるという人が、腰の痛みが悪化しているとしたらどうしてなのか?を私は考えました。

 

次の日の夜も同じように温泉に行きました。入浴前に次のような話をしていたのです。

  「サウナに入った後の方が腰痛がひどくなっているなら、その理由として考えられるのはサウナで大量の汗をかいて、血液が濃くなり、そのために全身の組織がギューと締まってきて、腰痛がひどくなっている可能性がある。それを確認するために、今日はサウナに入る前や、入っている途中で水分を意識的にガブガブ飲みながら入ってみな」。

入浴後に、「昨日みたいに痛くならない」という言葉を聞いて、彼女の腰痛が水分不足により、血液が粘った時に悪化するようだというイメージが出来てきたのです。その後、このことを確認することが、何度も起こることとなりました。

 

何が問題なのか?「彼女の腰痛は、血液が濃くなり、粘ってきた時に悪化している。水分をドンドン飲むと、腰痛が軽くなっている。ところが、本人は喉が渇かないため、ついつい水分を飲むことを忘れてしまう。つまりは、身体が水分を必要としているのだ。必要としているのに、なぜ喉が渇かないのか?」という疑問です。

 

私が半断食でのアドバイスをする際に、常に頭に入れていたことは、「生命に聞く」ということでした。「何を食べるべきか。何を飲むべきか。それは、考えても分からない。本を読んでもわからない。人に聞いてもダメだ。正しいことは、自分自身の生命が教えてくれる。生命は間違わない」という沖先生の考えが根底にあったわけです。

   その原則からすれば、香日子さんの場合に、腰痛という症状に対して、水分が必要であることは何度も確認している。その必要な水分に対して、欲求がなぜ出ないのか。どうして、喉が渇かないのか。生命を守る、バランスを取る為に必要なことは、全て生命が教えてくれるはずである。さっさと喉が渇いて水分を飲めば、サウナで汗をかいて、また散歩で汗をかいて、腰痛が悪化することはないのである。それなのに、喉が渇かないのは生命の原則からみて、おかしいというのがこの5年間の疑問でした。

 

近年、夏になると、テレビで連日のように報道されているのが熱中症です。テレビでお医者さんが熱中症を予防するために、「喉が渇く前に水分をとって下さい」ということを言っているのです。

 

喉が渇く前に水分をとる、というのは実際には難しいのです。いつ、何をどのくらい飲んだらよいのか全くわからないのですから、このような注意をしても、役に立っていないから、毎年多くの人が熱中症でなくなっているわけです。

    いずれにしろ、香日子さんの腰痛も、無塩食による反応の多くも、熱中症の時も、水分を必要としているにもかかわらず喉が渇かないのです。これはなぜなのか、これが大問題なのです。

 

さて、5年間の疑問に対して、約半年程前に納得できる答え(まだ仮説ですが)を発見しました。その答えに到るまでには、香日子さん以外に、何人かの体験があってのことでした。特に、ある男性が長期間の無塩食を実行し、結果として亡くなる事態となり、そのことが答えを見つけるキッカケになりました。

 

私が「無塩食友の会」を立ち上げ、このレポートを公開し、無塩食の実践から学んだことを(まだわからないことが多いとしても)、少しでも皆様に伝えたいと思ったのは、「なぜ喉が渇かないか」というこの疑問が解けてからなのです。

    そして、

 ①無塩食実施上の最重要な注意点がわかってきた(これを知らないで無塩 食をやってはいけない)。

 ②無塩食の位置づけが明確になった(半断食との違い、水断食との違いな ど)

 ③現在、日本と世界のマクロの食事をやっている人達の錯覚と、根本的問 題点がわかってきた(好転反応という言葉でごまかさないこと)。

 ④その他、色々

 

今後のレポートで、この関連の説明を色々なケースでしていくことになりますが、とりあえず私の仮説の答の結論を簡単に書いておきます。

 

一般的に「喉が渇く」という症状は、今食べたもの、飲んだ物に対して起こる生命のバランス維持の働きであり、警戒信号であり、警報なのです。人類の歴史の大部分は、今手に入れた食べ物または飲み物が体にとって良いものかどうかは、飲食してみなくてはわからなかったのです。

 

今食べた物が甘い、しょっぱい、辛い、苦い、酸っぱいなどの刺激が強すぎた場合や、少し腐りかかっていたというような時は、胃腸の粘膜が反応して、喉が渇いて水分を要求するのではないかということです。

しかし、断食でも半断食でも、無塩食でも、普通の玄米食でも、反応というのは今食べたもの、飲んだものではなく、体内に蓄積していた毒が血液の中に溶け出してくるわけです。この時には、喉が渇かないのです。

 

人類の歴史において、過食、飽食が何十年も続くなどということは、ごく最近のことなのです。頻繁に飢餓に襲われていた昔は、蓄積していた毒(備蓄物)が溶け出してきても、その結果、血液がドロドロになるなどということはなかったと考えられます。

 

口から入ってきた毒に対しては生体の防御システムが完備されている。しかし、体内に蓄積されていた毒が溶け出してきても、その毒に対する防御システムは完備されていないのです。

   それは、人類の歴史において、その必要性がなかったからなのです。

 

【第6講から】

今回はゲルソン療法との出会いについてです。20098月に福島県の只見という所で、友人のヨガの先生の合宿がありました。私はお手伝いの講師で、半断食や正しい食生活について講義を担当していたのです。

「1年前から、セミナーのシステムを変えている。三島のセミナーは、これこれで無塩食という内容でやっている。」これに対して、彼は「ゲルソン療法と似ているね」とのことです。私は「ゲルソン療法というのは、野菜や果物を食べるというだけだろう」。彼は、「いや、ゲルソン療法は無塩のはずだよ」。

 

私は三島事務局の澤井香日子さんにTELをしました。「インターネットでゲルソン療法の本を調べて、数冊買ってください」。大森先生との雑談の中で、ゲルソン療法という言葉を何度も聞いていたのです。しかし、詳しくは知りませんでした。大森先生のお話しされたことも「ゲルソン療法は陰性な野菜や果物を食べるやり方だから、陽性なガンにはある程度効果がある」というような印象だったのです。

 

ゲルソンの本をパラパラとめくって、ゲルソン療法が、私が独自に考えだした「無塩穀菜食とほぼ同じものだ」ということがわかりました。そして、ゲルソンの一文を見て、「やっぱりそうか!」と思いました。その一文「私が今まで指導した末期のガン患者で、残念ながら助からなかった人の多くが、最後に肝性昏睡を起こして亡くなっている」

「腫瘍が破壊され、分解され、吸収された後でも回復までには解毒器官、とくに肝臓と腎臓には常に大きな負担がかかっているということを、忘れてはならない。もし、これら余分の有害物質の排出を、日夜一生懸命に助けるようにしてやらないと、患者は肝臓昏睡に陥るという深刻な危険も生ずる。私がこの治療法を始めた初期の頃に経験したのが、それだった。」(徳間書店、マックス・ゲルソン著、今村光一訳「ガン食事療法全書」の173頁からの抜粋)。

 

肝性昏睡については、私自身も忘れ難い経験があります。拙著「ウイルスは恐くない」65ページの「Aさんの話」からの抜粋。

 

Aさんの話

25年ほど前のことですが、私は横浜で半断食道場をやっていました。Aさんは、この道場に来た40歳代の肝硬変の人です。彼は雨が降ろうが、風が吹こうが、毎朝6時に出発して2時間位の散歩に行っていました。ある日の朝、彼が散歩に行かず、寝ていたのです。疲れて寝ているようだから、無理に起こさなくてもいいと思っていたのですが、昼ごろになって、同室の男性が「先生、チョッと変です。来てください。」とのことです。すぐに部屋に行ってみると、寝巻きのまま目を半開きにしてぼやっと立っていたのです。明らかに様子が変でした。名前を呼んでも、返事をしないのです。そのうちそろそろと歩き出して、部屋の隅の方をノロノロ歩くのです。

 あとで理由がわかったことですが、ベランダの近くや、窓のそばを無意識でノロノロ歩いていたのです。肩をゆすったり、何度も大声で名前を呼んでも、一切反応がなく、そのうち畳の上に崩れ落ちて、いびきをかき始めました。生姜シップでお腹を暖めたりしてみましたが、意識が戻りません。しばらくして、失禁し始めたのを見て、私の限界を超えていると思い、知人の看護師さん(当時病院で断食指導もしていた日野厚先生の下で働いていた女性)に電話して経過を伝えました。彼女は、「國清さん、肝性昏睡の疑いがある。すぐに救急車を呼んだ方がいいよ」とのアドバイスでした。

 救急病院で応急処置をした翌日のことです。大量の宿便が出たとたんに、意識が正常に戻りました。宿便を出すために、お腹に血液が集中していたのです。もうひとつ、ガスストーブを長時間つけていたのです。エアコンがなかったので、ガスストーブを置いていました。長くつけないよう注意していたのですが、同室の人は陰性体質で寒がりでした。横浜の道場は、大きなマンションを借りて使っており、密閉したマンションで、ガスストーブを長時間つけたために、部屋の中の酸素が不足してしまったのです。肝臓病で血液が汚れている人には、少しの酸素不足でも大きな負担になるのです。宿便が出かかっていて、血液がお腹に集中している上に、酸素不足で一時的に昏睡状態となってしまったわけです。しかし、意識不明のまま、窓の近く、ベランダの近くをどうしてノロノロ歩いたのか、後日、大森先生に報告してわかったのですが、それはアルミサッシのわずかな隙間から入ってくる外の新鮮な空気を求めていたのです。

 

上記のAさんの件は、今思い返してみても残念であり、また救急車を呼ぶのが遅れていたら、どうなっていたかと思います。とにかく、肝性昏睡とは、血液中の毒素を肝臓が処理しきれなくなり、血液状態が極度に悪化して、昏睡になるということです。

 

ゲルソン療法を実行したガン患者が、なぜ肝性昏睡に陥るかというと、ガン腫が一気に分解してきた場合に、その時に発生する毒が血液中に溢れてきて、それを中和するための野菜、果物、水分が不足したら、肝性昏睡を起こすと思われるのです。

 

マックス・ゲルソン博士は、今から約130年前の1881年ドイツに生まれた人です。偏頭痛に苦しみ、そのために色々な食事制限を試みて、その体験からゲルソン療法を完成 させていったとのことです。現在、世界的にゲルソン療法が見直されてきたようです。

現代医学に見放された末期ガン患者が、奇跡的に回復しているという事実が少なからずあるからこそ、継続、拡大していると思います。日本には、本格的なゲルソン療法の病院はありませんが、星野仁彦医博の本が出版されています。星野先生は、心療内科、精神科のお医者さんです。大腸ガンから肝臓に転移し、5年生存率0%の状況から、ゲルソン療法によって、すでに20年間、元気に活躍されています。

 

無塩食を始めて、ゲルソン療法を知るに至って、末期ガンが治っても不思議ではない、もしかしたら、本当に治るかもしれないという気持ちが出てきていました。そんな時に、Kさん(女性、当時54歳)が無塩食セミナーに参加されました。約2年前の20107月と8月の2回のセミナーに続けて参加されたのです。Kさんは、その1年前に卵巣ガンで余命4カ月と告知されていたのです。当然、医師からは手術を勧められていましたが、手術は受けずにマクロビオティック(玄米菜食)の食餌療法をやっていました。しかし、腫瘍はだんだん大きくなって、セミナーに来た時には16㎝以上とのことでしたが、特別に辛い症状はなく元気な感じでした。

    7月のセミナーで無塩食を始めて、そのまま続けて1カ月後の8月のセミナーの後も、無塩食を続けていたのです。時々、メールやTELで相談、報告があったのですが、本人は無塩で何ともない、体調もいい、毎日散歩しているとのことで、私も心配しながらも(いつまでも無塩を続けていいのか?)、本人が調子がいいならいいかという感じでした。

 

12月中ごろだと思いますが、Kさんから私の携帯に電話がありました。「先生、ガンが破裂しました」とか言うのです。「ええ~」と私は驚いて、肝性昏睡の一歩手前で危険な状況かと思ったのです。しかし、どうも様子が違うのです。

突然、お腹が激しく痛み出してどうしようもなくなり、かかりつけの病院へ行ったとのことです。そこで検査したところ、ガン腫がぺしゃんこになっていたようです。検査でカタマリが小さくなっていたのです。

とにかく、今もお元気のようです。

 

私はKさんの経過をみて、ゲルソン博士の言葉通りであり、ゲルソン療法でガン腫が分解し、治る可能性が十分にあることを再認識した思いです。しかし、2年前にはまだ私は無塩食に伴う重大な問題点について、正しく把握していなかったのです。

    それは、第五講のレポートに書いた「排毒で血液が悪化してきても、喉がかわくというセンサーが働かない」。結果として、溶け出してくる毒を中和するための野菜、果物、水分が不足してしまうのです。ガン腫がドンドン分解してきたら、一気に肝性昏睡になってしまうわけです。しかし、それよりも徐々に毒が溶け出してくる場合の方が、気がつきにくいだけに恐いのです。

 

【第7講から】

第五講で少し書いてありますが、私は無塩食をやると、だんだん塩分が不足がちになって、陰性な反応や症状が出てくると思っていたのです。しかし、この3年半の体験では、まったく逆な感じなのです。陰性になるどころか、むしろ陽性な反応で血液が粘ってくるのです。立ちくらみや、胸苦しい、手足が冷えるなど、一見すると陰性な症状かと思われますが、そうではなくて、陽性な排毒で血液が粘って、循環が悪くなっているだけでした。

 

以前の半断食指導の際には、体内の毒は陰性から出る。つまり、陰性な反応が出てきて、だんだん陽性な反応が出てくると話をしていたのです。本当にそれが正しかったのか、今現在、疑問を持っています。アルコールや果物などの陰性はすぐに代謝して蓄積するとは考えられませんが、砂糖は陰性で毒として蓄積するとしても、陽性な動物性のものなど、塩気のあるものと一緒になっているはずなのです。

    従って、砂糖の反応が出ている時は、同時に陽性な毒も血液中に溶け出していると考えられるのです。将来の飢餓に備えて、体が備蓄しなくてはならないものは塩分であると考えるならば、その塩分にくっついて砂糖の毒もたまるということになります。  

    水断食の初期や半断食の初期に出る「だるい、ねむい、寒い」という症状は陰性な反応だと思っていましたが、これは単に血液が排毒によって粘って出てくる症状かもしれません。この時に、梅生番茶が美味しいから陰性な反応だとは言えないのです。梅生番茶は陰性にも陽性にも効果があり血液循環を促進しますから、当然おいしいわけです。

 

体内に蓄積しているのは塩分を含んだ陽性毒であるとするならば、排毒反応は全て陽性だと考えられるのです。無塩食セミナーを3年半やってきて、この仮説の方がピタッとくるのです。病気が全て陽性だと言っているのではありません。一般的に言う陰性体質や陰性な病気でも、排毒反応は陽性ではないか?ということです。

  

3年間の無塩食セミナーで再認識したことは、女性と男性の違いです。昔の水断食でもそうですが、女性の方が2倍以上強いのです。男性で1カ月の水断食は、昔も結構大変でしたが女性の場合はヘッチャラなのです。体重の減り方が全く違います。

    女性の場合は、無塩の野菜料理が抵抗なく美味しく食べられるのです。4、5日続けても食欲も落ちないし、無塩でヘイチャラだという人が多いのです。どんな野菜、果物が美味しいかは、人によって違いますが、とにかく無塩食は間違いなく女性の方が体質的に合っているのです。

 

話は変わりますが、第五講のレポートに書きましたが、澤井香日子さんの腰痛(脊柱管狭窄症、骨すべり症、ヘルニアの合併症の重症の痛み)が無塩食を続けて6日目頃に、朝起きたらまったく消えていたのです(2009年7月頃)。

昔の動物性の塩分で、腰の組織が硬化しているのだから、無塩食で蓄積している陽性毒を抜いていけば、腰痛が改善するはずだという仮説のもとに、彼女の場合は、無塩食セミナーの開始前から数回の無塩食をやっていました(3日~7日間位)。

   そして、2008年夏からは、三島のセミナーの度に、参加者の皆様と一緒に無塩食をやっていたのです。

   ある日、朝起きたらいつもの腰痛が嘘のようになくなっていたというわけです。それから現在までの3年間は、塩分を入れ過ぎると腰痛になり、抜いているとなくなるという状況なのです。

 

第二講で書いた私の家内の高血圧がどうなったか、「香日子さんの腰痛がとれたんだから、お母さんの血圧も無塩を続ければ、絶対に治るよ。セミナーの時に23日無塩にしても治っていないのだから、もう少し長くやらないと、硬くなっていた血管の弾力性がもどらないんだ」ということで無塩食8日目の朝、血圧がストンと下がって、その後3年間、以前のように上がることはないのです。

   なにしろ、大森先生の勉強をしてからの30年近く、小魚もとらない純正穀菜食を少食で、塩分も控えめでやってきた家内が、なぜ血圧が上がったのか全くわかりませんでした。香日子さんや家内の変化を見て、私の仮説が正しいと思いました。

 

ついでの話ですが、家内と香日子さんは、セミナーの時には、朝の6時から夕方6時頃までほとんど休みなく台所で立ちっぱなしで、食事の用意をしているのですが、塩気を入れていた少食半断食の時よりも、無塩食になってからの方が疲れないと2人共言っているのです。年に1回春にオランダでの合宿セミナーに行っているのですが、オランダ道場で台所をやりながら指導をしている金沢初子さんも「無塩食になってからの方が、前より疲れない」と同じことを言っているのです。

   疲れるということは、血液の流れが悪い、ということかと思われます。塩分をきかした少食穀菜食の方が、無塩食より血液の流れが悪いとすればそれはなぜかということです。私の今までの思い込みでは、疲れた時は塩気を入れて、血液循環を促進するというイメージだったのですが、どうも違うようです。

 

また、話が変わります。無塩食の実際について、基本的なことを以下、説明致します。

 

その①(完全無塩と減塩の違い)

無塩食と減塩食の違いについて、確認しておきます。私が勧めているのは完全無塩食で、減塩食ではありません。一般に言われている減塩食は、実は減塩になっていないために、ほとんど効果がないのです。これはどういうことかというと、私の考えでは次のようなことです。

一般の人の食事には3倍から10倍の塩分が含まれている。つまりは、必要量の3倍以上を日頃とっていて、余分な分は身体に蓄積するか、汗や尿から排泄されている。

この人が減塩を心がけて、塩分量を2分の1にしたらどうなるか。確かに今までよりは負担が減っているけれども、必要量以上にとっている状況は変わっていない。従って、塩分が不足して、体内の毒が代謝してくるという変化は起きない。結果として、たいした効果はないのである。

しかし、必要量の半分しかとっていない減塩だったらどうなるか。上記はウソの減塩であるが、これは本当の減塩であり、不足分を体内の毒を分解して補うこととなり、完全無塩の場合よりも排毒速度が遅いだけで、同じ効果があると考えます。急がないで、ゆっくり排毒を勧めるという点では、完全無塩よりも良い場合が多いと思われます。

ところが、本当の減塩食で効果を上げるためには、一体どの位の塩分をとったらよいのか、それがわからないのです。それを知るためには、先ず完全無塩食をやってみて、そこから少量の塩分を加えて、体の変化を確認して加減する以外に方法がありません。

無塩食の目的は、蓄積している毒の代謝を実感し、それを長期的に、無理なく進めるために、日頃の正しい食生活と塩分量を体得する準備段階として行うものなのです。

 

 とにかく、減塩を心がけていたけれども効果がなかった、ということは、実際に減塩になっていなかっただけなのです。本当の減塩なら効果があります。

 

その② (穀物や豆類には毒消し効果はない)

 短期(1日~5日程度)の無塩食の場合は、穀類、植物性蛋白(豆類、豆腐など)は、特に必要ない(食べてもよいが)。なぜなら、まずドンドン溶け出してくる陽性毒を中和するための野菜、果物、水分が必要であって、穀類や植物性蛋白を食べても、動物性の毒を中和することができないからです。

 

その③(必要なものは人によって違う)

 無塩の野菜、果物で何が美味しいかは個人差が大きい。その時、その人に必要な物が美味しく感じます。つまりは、今、血液の中に溶け出している毒を中和するもの、代謝を促進するものが美味しく感じるわけです。従って、他の人が美味しくても、自分は全く逆になることは珍しくないのです。

 

 

その④(必要量を思い込みで判断するな)

 美味しいなーと感じる野菜でも果物でも、ジュース類でも何でも、食べたいだけ、飲みたいだけ摂って下さい、と申し上げています。ここで大切なことは、「要求するだけ食べてもよい」のではなく、「要求するだけ食べなくてはいけない」のです。

 99.9%の人は、「食べ過ぎ、飲みすぎはいけない」という身にしみ込んだ思いがあります。過食によって、体調をくずした経験は誰にでもあります。そうすると、美味しいからといって食べすぎるのはいけないのではという思い込みによって、もう少し食べたい、飲みたいけど、無意識のうちに控えようかなーとなってしまうのです。

 無塩食の場合にはこの思い込みを意識的に切り捨てなくてはなりません。無塩食の実践で失敗するのは、この無意識の思い込みなのです。体が要求しているのに控えるということは、毒を中和するために必要としている野菜、果物、水分等を控えているわけです。火事で燃えている時に、それを消すには必要な量の水をかけなくては、火は消えません。水を控えてはダメなのです。同じようなことなのです。

無塩食に過食という現象は起きないと考えています。必要な量以上に食べるということは起きにくいのです。ところが、普通の塩を使った料理は、注意しても過食になります。この点が全く違ってくるのです。

   再度、大切なことなので、念を押しておきますが、無塩食実践における最も重要な注意事項がこのことなのです。その時、その人にとって必要な物が美味しいのです。その美味しいものを食べたいだけ、飲みたいだけ(もう要りませんというだけ)とらないと、血液の中に溶け出している毒を消せないということです。これを控えめ、控えめにしていると、徐々に血が粘ってきて、突然、強い反応が出てくることがあるのです。

  ゲルソン療法では、1回量220ccの野菜ジュースを1日13杯飲むよう指示しています。肝性昏睡を起こさないためには、大量の野菜ジュースを必要としていると、ゲルソン博士は実践を通して導きだしたのです)

 それでなくても、排毒で血液が粘ってきて、「喉が渇く」という反応が起きないのですから、意識的に食べたいだけ食べ、飲みたいだけ飲むことを心がけないと、不足してしまうのです(ただし、これは完全無塩食の場合であって、少量でも塩分が入ってくると、食欲がどんどん増して過食になります)。

 

その⑤(無塩食の期間は?)

 今、体内を流れている血液の中には塩分がありますが、それは徐々に汗や尿で排泄され、減っていくことになります。食べもの、飲みもので塩分が補給されないと、どの位で血液中の塩分が不足になるのか、正確にはわかりませんが、無塩食の実践体験からは、24時間経過したら足りなくなってくると思われるのです。なぜなら、24時間の無塩食を実行しただけで、体重減少、その他、排毒反応が起き始めるからです。

 従って、無塩食とはどんなものか、少しでも体験をしたいというだけならば、24時間の無塩食でも感じはわかります。しかし、女性で健康な人、または玄米菜食等を長年やっている人の場合は、24時間ではほとんど実感できる変化がないかもしれません。逆に言うと、体質の悪い人、血液の汚れている人ほど、反応が速いのです。

 そんなわけで、三島のセミナーでは、とりあえず48時間の無塩食体験をしていただいています。48時間の無塩食を実践すれば特別の反応がなくても、それなりに体の変化を感じることができます。

短期の無塩食は、48時間位としても、長い場合はどの位なのかということですが、現在の私の考えとしては完全無塩は2週間程度で良いと思います。玄米菜食を長年やってきた健康な女性ならば、1カ月以上でも問題ないかもしれませんが、一度に長く続けるよりも、短期の無塩食を時々行う方が安全で、無理がなく、失敗しにくいと思います。とにかく、最初から長期間の無塩はやめた方がよいのです。

 今までろくに運動していなかった人が、突然100㎞歩くようなことをすれば無理になります。まず3km位をゆっくり歩くことから始めるのと同じことです。48時間の無塩食によって、正しい食べものや微量の塩分がよくわかるようになります。

 

 

                       以下、次号につづく


 
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