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無塩食講座第19講 


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無塩食講座 第19講 201266日アップ 

千日回峰行

 

1.今回は、拙著「ウイルスは恐くない」から千日回峰行を転載致します。

この本の原稿を書き始めたのが、約4年前で、無塩食セミナーを開始した頃ですから、無塩食について、この講座で書いてきたようなことが、全てわかっていたわけではありません。

特に水分の問題については、4年前と現在では、かなり理解が違ってきま  した。

 

2.大森先生が病気を治す正食のポイントは、「少食少飲で、山道を14時間歩く」と教えられていましたので、水分については、健康になってくれば1日の水分量が減ってくる、とにかく喉が渇かない方が良い、と思っていたのです。

  きれいで濃い血を創る、そのためには、食事以外の水分量は12合以内にすると教わっていたのです。

実際に穀菜食を少食にしていると、喉が渇かないのです。私も家内も、食後にお茶を飲むという習慣がないのです。原稿を書くために、喫茶店やファミリーレストランによく行くのですが、コーヒーを注文しても半分位しか飲まないのです。

 

3.そんなわけで、以前の半断食セミナーの時には「正食で健康になってくれば、体が要求する水分量が減ってきます」と話していたのです。

  しかし、無塩食セミナーを始めてから見解が大きく変わってきました。その内容については、今までに色々書いてきましたが、もう一度整理しますと、

 ①きれいな血液が循環している時には、喉が渇かない。

 ②塩気がきいた穀菜食を少食にしていると、体内を循環している血液が、だんだんきれいになってくるから水分量が減ってくる。

 ③ところが、無塩食を実行すると体の奥深くに蓄積している毒(陽性毒)が溶け出してくる。その結果、血液が汚れてくる、そして喉が渇く。また毒消しの野菜や果物が美味しくなる。

 

  簡単に言えば、塩気のある穀菜食より、無塩食の方が体内の毒の代謝速度が早いということなのです。無塩食を実行すると陽性毒が溶け出してくるのですから、陰性になるということは、まずありません。

 

  以下、「ウイルスは恐くない」から転載です。

 

千日回峰行

 

比叡山で行われている、大変厳しい行に千日回峰行というのがあります。

 ご存知ない方も多いと思いますので、この荒行の内容を簡単にお話します。

 天台宗の修行の一つで、比叡山の峰々を礼拝しながら歩くという行で、のべ7年間かけて、千日歩くのです。1年目から3年目までは毎年100日、4年目と5年目は200日、6年目は100日、7年目は200日と決まっています。平均したら1日に歩く距離は約40キロ、延べ千日で約4万キロとのことですから、地球一周の距離を歩くことになります。

歩くといっても、上り下りの山道をサッサと歩くのですから、平地を走っているのと同じようなものです。私は昔、テレビのドキュメンタリー番組を見ただけですが、かなりのスピードで歩いている感じでした。

 半断食セミナーに、神戸から何度も参加した社長さんがいました。この社長さんは、毎日20キロの散歩をしている人なのです。一般の人が、千日回峰行の歩くコースを体験させてもらえる機会があるそうで、この社長さんは、その体験をしたことがあるのですが、毎日20キロ散歩している彼が、とても早くてついていけないと言っていました。

 さて、この千日回峰行の最大の山場は、700日が終わったところで、「堂入り」といって、お堂の中で断食をするのですが、これが普通では考えられない断食なのです。

 9日間、飲まず、食わず、寝ず、横にならずという断食です。食事をとらなくても、健康な人なら、水さえ飲んでいれば1ヶ月位の断食は問題なくできます。しかし、1滴の水分も取らなかったら、早ければ2日か3日で死んでしまいます。それを9日間行うのです。しかも、一睡もしないし、横にもならないのです。お堂の中で1日中お経を唱えていて、夜中の2時頃、2300メートル離れた井戸まで、仏さんにささげる水を汲みに行くときだけ、お堂を出るのだそうです。

 普通では、不可能な9日間の断食、断水、不眠、不臥の堂入りという行がなぜ可能なのでしょうか。私なりの説明をさせていただきます。

  

睡眠時間について

まず、睡眠について考えてみます。水を飲みながら長期の断食をすると、睡眠時間がドンドン短くなってきます。個人差が大きいですが、断食1週間から10日を過ぎると、睡眠時間は23時間で足りてしまいます。40年前、沖ヨガ道場で50日間の断食をした男性(同じ弟子の仲間)がいました。20代の健康な人でしたが、50日間の断食は当時としても長い方です。最初の1週間位は、だるい、眠いなど、陰性な反応が出ていましたが、10日目頃から気分も体調も良くなってきました。その彼が、断食20日目頃から「夜、1時間位しか寝ていない」とのことです。さらに、断食30日目頃から「今は2日に1時間しか寝ていない」と言うのです。とにかく眠くならないので、本を読んだり、事務的な軽作業ならいくらでもできるのです。それが断食50日目まで続き、復食に入って食べる量が少しずつ増えるにしたがって、睡眠時間が長くなっていきました。

長い断食をすると、誰でも同じような体験をしています。食べる量と睡眠時間は、かなり比例しているのです。睡眠とは何かと考えると、1日の活動によって体内に発生した毒素を処理して、翌日の活動の準備をしているのだと思います。血液が汚れている人ほど、長い睡眠時間が必要になります。断食により、体内の毒素が大掃除され、血液がきれいになると、睡眠時間は短くなるということです

 逆に過食、邪食で血液が汚れている人は、いくら寝ても、まだ眠いということになります。朝の通勤電車で、座っている人の大多数は、コックリ寝ていることが多いと思います。一晩寝て朝起きてきたのに、もう眠いということは、睡眠が足りていないということです。つまりは、体内の毒素の処理ができていないから、朝から眠いわけです。

睡眠時間と1日の食事の回数は、ある程度比例します。1食3時間といって1食食べると、睡眠時間が3時間必要になるということです。12食の人は6時間の睡眠が必要になり、3食食べている人は、8時間寝ても足りないことになります。当然食べものの内容によって違うわけですから、白米、肉食で3食食べてる人は、いくら寝ても、足りないわけです。玄米菜食で2食を少食にしている人は、45時間の睡眠で十分になるのです。

 寝ている時間というのは、半分死んでいる時間です。植物人間で寝たきりの人は、生きているとは言いがたいのです。起きて、活動している時間が、本当の意味で生きている時間です。

 今までは、8時間寝てもまだ眠いという人が、玄米菜食で2食にして、睡眠時間が5時間になったとしたら、13時間の起きて活動している時間が増えたということになります。すなわち、生命が伸びたということです。お金で生命(時間)は買えません。

 

水分量について 

次に、水分の問題です。断食をすると、睡眠時間が短くなっても、水分だけは要求するだけ飲んでいます。体が要求する水分量は、かなり個人差が大きいものです。この水分量は何で決まってくるのでしょうか?もし、皆さんが回りの人達と比較して、1日の水分量が多かったとしたら、これは食生活を見直してみる必要があります。簡単に言うと、体質が悪い人、血液が汚れている人、過食の人ほど、体が要求する水分量は増加するのです。逆に言うと、玄米菜食で血液が浄化されてくるとあまり喉が渇かなくなってきます。もちろん、夏と冬では違います。また、運動して汗をかけば、それだけ水分を要求します。

 ですから、同じような生活をしている回りの人と比較して、水分量が多いかどうかということです。断食の初期には、体内の毒素がドンドン出てきます。このときには、喉が渇きますが、断食1週間を過ぎて、血液がきれいになってくると、要求する水分量が減ってくるのです。現在の半断食の場合も同じことが言えます。始めの23日は、喉が渇いて、水分を比較的飲む人が多いのですが、5日目頃から体が要求する水分量は、半分くらいに減ってくるのです。

 とにかく、1日中ガブガブお茶や水を飲んでいる人は、かなり血液が汚れていると考えて食生活を見直してください。 

 水分量について、もう一つ貴重なお話を聞いています。沼田勇先生(玄米食関係のお医者さん)から、35年ほど前に直接伺ったことです。昔、インドでコレラが流行して多くの人が亡くなった時に、沼田先生がその対策をインド政府にアドバイスをしたのです。そのアドバスによって100万人の人を救ったということでした。沼田先生がコレラ対策としてどんなアドバイスをしたか、それは簡単なことでした。「食後30分間、湯茶飲むな」これだけなのです。食事の後に、30分間はお茶や水を飲まなければ、コレラに感染することはないということなのです。

 コレラ菌はどこから体内に入ってくるかといえば、皮膚や呼吸からではありません。飲みもの、食べものと一緒に口から入ってきます。コレラが流行している時に、生水など誰も飲みませんから、普通は食べものと一緒にコレラ菌が体内に入ってくるわけです。食べものに付着したコレラ菌は、生きたまま胃の中に入っていきます。胃酸はPH(ペーハー)12くらいの強酸性ですから、この胃液で蛋白質であるコレラ菌は簡単に分解され、死んでしまいます(この胃酸で自分の胃壁が爛れてくるのが胃潰瘍)。

 食べものである固形物は、胃の中で留まって消化されますから、コレラ菌も胃の中で胃酸によって、分解されるわけです。しかし、食事をしながら水分をガブガブ飲んだらどうなるか。液体の水分は胃を素通りして、すぐに腸へ流れて行きます。その水分と一緒に、生きたままのコレラ菌が腸へ行って発病することになります。食後30分間、余計な湯茶を飲まなければ、強酸性の胃液によってコレラは分解されてしまうから、コレラにならないということなのです。

 夏になると食中毒が増加しますが、その原因の一つが、食前、食中、食後の水分の摂りすぎです。水分をガブ飲みしている時には、少しの腐敗菌でやられてしまいます。しかし、余計な水分を摂らなければ、コレラ菌でも腐敗菌でも、大腸菌でもそれ自体は蛋白質の塊であり、全て胃酸で分解されてしまうのです。

 

 運動について

 次に、運動するということは、基本的にどのような生理的意味があるのでしょうか。運動といっても、のんびり歩くのと、長時間の激しい運動では、当然ながら違うことでしょう。また、ヨガのような呼吸を中心とした静かな動きでは、また違ってきます。千日回峰行においては、山道を1日平均40km歩くのですから、大変な運動量になります。

 私の個人的体験ですが、真夏の暑い日に、25km位マラソンをしたことがあります。もう出ないという位に大量の汗が出て、最後の数キロは走れなくなって、歩いて家までたどりついたのです。本当に力を出し尽くしたという感じでしたが、その翌日の体調の変化にビックリしました。肩、背の凝りがなくなっていたり、顔の吹き出物がきれいになっていたり、古い便がたくさん出てきたり、日常とは違った変化を実感したのです。

 簡単に言うと、体内に蓄積していた毒がかなり出たという感じでした。過去に何度も断食の体験がありますので、その断食と比較してみると、3日か4日の断食に匹敵する効果があったように思います。

 とにかく、運動して汗をかくということは、体内の毒がドンドン排出されてくるということです。運動は、積極的な排毒法であり、断食と同様な生理的意味があると考えられるのです。断食、半断食において、色々な反応が出ている時に、ゴロゴロ寝ているより、散歩や体操など、運動した方が気分が良くなり、反応が早く経過することを何度も体験してきました。特別の重病人でない限り、運動した方が反応の症状は、早く抜けていくのがわかります。

 ところで、皆さんは、食欲のコントロールで悩んだ経験があるかと思います。食欲がなくて困ることもありますが、過食、大食で体調を崩すことも多いと思います。

 意志の力で、食欲のコントロールは難しいことですが、運動すると精神的にも安定して、食欲も正常になってきます。散歩は積極的排毒法であり、心の安らぎにつながる歩行禅でもあります。

 

 以上、睡眠、水分、運動について、検討してみますと、千日回峰行において、9日間もの間、一切飲まず、食わず、寝ず、横にもならないという普通では考えられない断食が可能なのはなぜか。5年間の準備期間において、正しい食事をとり、山道を1日40km歩いているため、断食行に入る時には、体内の毒は一切なくなっているからこそ、可能だと考えられるのです。

 千日回峰行の食事の詳しい内容についてはわかりませんが、基本的には動物性のない穀物菜食なのです。近年この修行を成し遂げた酒井氏の食事は、塩で茹でたジャガイモ2個、ゴマ豆腐半丁、うどん半皿を12回食べるだけだそうです。

最近、本で知ったことですが、奈良県吉野の金峯山寺でも千日回峰行が行われています。比叡山のシステムとは少し違い、9日間の断食、断水、不眠不臥(四無行)は、千日間の回峰行を満行した後に行われるとのことです。また、別の行で100日間の五穀断ち、塩断ちという修行があります。五穀とは、米、大麦、小麦、小豆、大豆とゴマを断つ、塩断ちは味噌、醤油、塩など塩分を断つということで、三度の食事は野菜とそば粉が中心で味はほとんどないとのことです。

 この行を満行した塩沼亮潤氏のお話では、塩断ちは最初の3日間は身体が重く感じ、3日過ぎから10日頃まで記憶力が衰え、すぐに忘れてしまうが、その後は逆に頭が冴えて普段の3倍ぐらい本を読むスピードが上がったりして、記憶力が非常に良くなったとのことです。

 千日回峰行も、100日間の塩断ち行も、別世界のことのように思われますが、本当に血液がきれいになったら、こんなことも可能になるという事実を示してくれています。

 ただ私の感想としては、今まで行われてきたこれらの荒行が、今後も同じシステムで可能かという点については疑問があります。若い人の体質が50年前から見ても、相当悪化しているからです。 

 

 

  
                   以下、次号につづく


                            

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